第五話 葛藤、そして反応
「事情はよくわかりました。しかし、私どもの国では憲法が作られておらず、代用している憲法では、戦争ができないという条項が書いています。その点を考えると難しいと考えられますが…とりあえず本国に聞いてみます。」
「そうですか…とりあえず本国の返答待ちということになりますね…」
松村は東方大陸へ送った外交官からの通信について小一時間考えていた。外交官からは「国交樹立の話し合いは上手く行った。」「国交樹立後相手側のアルダー共和国が他国に攻められている。至急応援を求む」の二つの通信だったからだ。国交樹立が上手く行ったことには喜んだ。しかし、後の応援を頼むことについては長く考えていた。
現在関西連邦共和国では暫定的な憲法として日本国憲法を使っていた。そのため戦力派兵は不可能に近い状況であった。ただ、ここで見逃してしまうとその国が関西に侵攻してくる事もあり得るだろう…そんな中松村は決断をした。
prrrr
「こちら松村です。土居さんをお願いします。自衛隊を派遣する事になりそうです。」
関西連邦共和国が後にサライア大陸内戦と呼ばれる戦争への参加がほとんど確定した瞬間だった。
「本日は報道各社のみなさんお集まりいただき、ありがとうございます。本日は重要なお知らせがあり、集まってもらいました。本日、東方大陸、現地名はサライア大陸のアルダー共和国という国と国交を締結しました。しかし、その直後、アルダー共和国は未知の武装集団により、危機的状況に陥りました。」
「これに対し、我が関西連邦共和国は武装集団に対し、断固として立ち向かうため、自衛隊を派遣することとなりました…」
「このように松村首相は発表しましたが専門家の皆さん、どう考えられますか?」
「いやぁ…これは妥当でありながら、非難されるものでしょうね…現行の憲法は日本国憲法ですから、やはり九条に抵触する、という考えの方もいられるでしょう。」
〜シリウス帝国帝都ノスプカ〜
「密偵により入った情報によるとアルダー共和国は関西連邦共和国という国と国交を樹立したように思われます。」
「その国はどこにある?」
「密偵からの情報ではここからもっと西にあるとのことです。」
「そうか。まぁいい、その関西連邦共和国もどうせ我がアルダー共和国にはかなうことはあるまい。予定からそれるが海軍を荒れた海のために更に編成することはできるか?」
「可能でありましょう…幸いにも予算は余っております。」
「そうか。なら関西連邦共和国も潰すために海軍の編成をせよ!」
少しずつ…シリウス帝国の破滅は近づいていたのであった…
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