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キングタイム  作者: 箱ロボ
カーナ
1/4

世界の破滅と一人の少女

 


 それはある日、突然起こった。


 建物が突然崩れ、人も動物も消滅していく異様な光景。


 一瞬で街は廃墟になり、火の海の地獄と化した。


 そんな中で一人の少女がポツンと立っていた。


 僕は真っ先に、彼女の元に駆け寄った。


「君、大丈夫?」


 そう彼女に問い掛けるが彼女は何も答えない。しかし僕の顔へ視線を向けてくれた。

 その見つめてくる表情は、何処か苦しそうだった。


「取り合えず此処は危ないから此処から離れよう」


 彼女は小さく頷いた。


 僕らはその場所を後にし、何処かビルの建物へと身を隠した。




 暫くお互い無言の空気が出来上がってしまった。まぁ初対面の相手にいきなり大丈夫?って聞かれたらなんて反応すればいいか分からないよね……それも相手はまだ見た目が小学生の相手だし。


「ウー……」


 そんな事を考えていると、女の子が窓の外を指を指しながら何かを見つめている。


 それに釣られて僕も一緒に窓の外を見つめる。其処には、人と同じ形を成した怪物と、複数人の奇妙な格好の人達が戦っていた。


 次々怪物薙ぎ倒していく人達を眺めていると


「ウーウーウーウー!!」


 突然彼女が叫び出した。

 表情で分かる位、彼女は恐怖と絶望している。


 彼女を落ち着かせようとするが一向に静かにならない。


 そうこうしていると、突然部屋の扉が開き、怪物と戦っていた男女達が五人押し寄せ、僕等の周りを囲んだ。


「その子を渡して貰おうか?」


 中で一番強そうな隊長らしき人物が刀を突きつけ、僕に問い掛けた。


「この子を如何するつもりだ?」

「如何するも何も、殺すに決まっている」

「何でだ!?彼女は普通の女の子だろう!?」

「違う。そいつからはジャッカーと同じ反応がする。人間では無い」


 ジャッカー?さっきの怪物達の事だろうか?でもそうなるとこの子は、怪物と同じ……。


「ジャッカーってのは殺さないとダメなのか?」

「ああ、殺し尽くさなければ、世界、過去、未来、現在、異次元、全てが壊しつくされ、我等人間の歴史が完全消去されてしまう。だから寄越せ。」

「嫌だ……」


 自分は、無意識にその一言を呟いた。


「何?」

「嫌だって言ったんだ!さっきの怪物は醜くて、あんた等と戦って、殺され瞬間までも意思が無かった様に見えた。でもこの子は違う!殺されると思って、今、凄く如何すればいいのか分からず、感情が滅茶苦茶になっている。この子は、僕達と同じ生き物だ!あんな怪物と一緒にするな!」


 そんな些細な気持ちが通じたのか、彼女の叫びが収まった。

 

「なら……この世界は終わったにも等しいし、一人位殺してしまっても構わんだろう。皆、切りかかれ!」

「うわああああ!」


 僕は彼女を強く抱きしめ、相手に背中を向けた。

 次の瞬間、背筋に鋭い痛み……いや、これは痛いと表現するべき物なのだろうか?とにかく熱い。熱くて、軽く火傷しそうな位に……。

 視界も凄くぼやけて見える。そんでもって何かが流れて行く。僕の何かが……それが流れ落ちてくに連れて、意識も薄れていく。


 そっか……僕……死ぬのか……。

 でも、何でだろう?不思議と悪くない気分だ。

 

 たった一人の少女の味方になっただけなのに……。 

 

 彼女の役にも立てなかったのに……。


 僕は今、凄く満足している。


「……ウー……ッ!……」


 声が上手く聞こえないや……。


 微かに聞こえる声に、手を伸ばした。

 そして、何かに触れた瞬間、視界が暖かい光に、包まれた。   

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