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彼と彼女の小話 その1
LINEの返信はまだないようだ、
バイト帰りの携帯の画面は何も通知が来ていないことを示すシンデレラ城の写真が画面いっぱいに、煌々と夜の暗さの中に光る。
やつから返信が途切れたのはいつからか、、、
なんてことは思い返さずともすぐに頭の真ん中に思い浮かぶ。
梅雨に入った前後のことだから遅くとも6月中旬のことだ。
今は遅くに始まった大学生の夏休みがとっくに終わる九月下旬、返事がない理由も思い浮かばない。
何かしでかしただろうかと、自分の送ったメッセージを読み返したのは数えきれない、
いつからかため息がセットになるのはもはや反射のうちか。
いや、ため息は画面を見た反射で起こらないのだろうか
意味のない問題提起と否定を繰り返す。
自分に何度問いかけても答えは返ってこないし疲れるだけなことはわかっているのに何で同じことを繰り返してしまうのか。
答えが出るはずもなく駅からの帰り道の空を見上げる、空はいまにも雨が降り出しそうだ。
雨が降る前に家に帰るため足を急がせた。