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パパと娘⁸のらぶらぶライフ ~うまれたときからアイしてるっ!~  作者: カンサー・プロジェクト
第一章 ハッピー・ハッピー・ウィークエンド! ~とある幸せな週末~
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第九話 やわらかお風呂天国 ~ちゃんとあらってね!~

 わしゃわしゃ。

 湯気の立ちこめる中、シャンプーをたっぷり使い、優結の髪を洗う。

 俺の身体ですっぽりと包めるほど小さな末娘の背中は、水滴を弾き瑞々しく輝いていた。


 浴室は広く、小さな銭湯と言ってもよいくらいだが、大人一人と子ども七人が入れば、なかなかに手狭となり、娘たちの柔らかな肌が頻繁に俺に当たる。

 早く私の相手もして! と言外に主張しているようでもあり、実際、そうした意図の乱入も珍しくない。

 とはいえ、今の俺の急務は優結の洗髪だ。

 思い思いにはしゃぐ娘たちに囲まれつつ、数々のタスクを順序良くこなしていかねばならない。


「ん~」


 幼少期の娘たちは大体そうだったが、優結もシャンプーがやや苦手なようだ。

 シャンプーハットをしていても、強く目をつむっている。


「流すよ」


「うん!」


 じゃあああ……。


「ふーっ、すっきり♡」


 温かなシャワーで泡を洗い流しハットを外してやると、ほっとした様子で、頭を振った。


「じゃあ次は体を洗おっか」


「よっしゃ♡」


 洗う場所が頭から体へ移った瞬間、優結の顔が輝く。

 怪しいほどににこにこしながら俺に抱きつく優結をやんわりと引っぺがし、両手にたっぷりと石けんをつける。


 優結の体は、驚くほどに小さく、柔らかい。

 年齢からすれば当然なのだが、こうして触れるたびに感心してしまう。

 この肌を傷つけないようにしようと思うと、自然と洗う手も慎重に、優しくなる。


「華弥ちゃん、や~らか! きもちい~♡」


「愛もぷにぷにしてて、きもちいいよ……♡」


 すぐ隣では、いつものように愛と華弥が洗いっこをしている。


「じゃ、しあげはパパね!」


「えへへ……しっかりおねがいします……♪」


 二人とも、肝心なとこは俺任せ。

 洗い合いというよりも、泡だらけになって遊んでいるだけかもしれない。


「うん、すぐ洗うから、もう少しだけ待ってて」


「パパ、ちゃんとあらうのよ? おへそも、せなかも、もーっとあらったほうが、いいんじゃないかしら!」


 次のタスクへ移る頃合いを感じた俺へ、優結は牽制するように要望した。


「そ、そう、わきも! あひゃひゃ!」


 まだまだ触れ合い足りないらしい優結を満足させるべく、少しばかりくすぐってやる。


「ひっ、ひーっ……まだまだずーっと、あらっていいよ……?」


 笑いを引きずりつつ、俺の両肩にもみじの手を置き、小首をかしげる優結。

 鼻と鼻が触れるほどの距離で、目が合った。

 思わず息を呑む。

 これは俺が父親で、優結を溺愛しているからこその感覚かもしれないが――

 あまりに美人だ。


 非常に整った目鼻と、まぎれもない幼児のものであるふっくらとした頬。

 それら様々な要素が合わさり、奇跡のような美となっている。

 そんな優結が、無邪気にはしゃぎ、笑い、ばくばくと食事をし、ブタのゲームで大喜びする――。

 俺の心には、そうした様々な表情が焼き付いており、これからもそれは増え続けるだろう。

 なんとなんと愛おしい――。


 優結に限らず、娘たち全員に対して、日々このような感情を抱いてしまう。

 毎日顔を合わせているにも関わらず、時折、心臓の鼓動が乱れそうなほどの感動を覚えるのだ。


「優結、つづきは、またあとでね!」


「お父さまも、たいへんだから……」


 待ちかねた愛と華弥が、鼻の頭や頬や髪に泡を残したまま、優結と俺に身を寄せる。

 三様の園児が視界に入った俺は、ふと考える。

 三人とも、今でこれだけ美人なら、これからどうなるのだろう?

 あるいは、今が最盛期だろうか?


 ……いや、ずっとずっと、最盛期なのだろう。

 0歳のときも、一歳のときも、この上なく可愛かった。

 そして今、こんなに可愛い。

 姉たちを見るまでもなく分かる。

 十歳、二十歳、百歳……いつまで経っても、美しく愛らしい、大事な大事な俺の娘なんだ。


 優結にも増してぷにぷにとした愛、それに比すればすらりとした華弥。

 歳が近くとも個性を感じる体型の二名を同時に洗い終えた俺は――休む間もなく巴を抱え上げ、膝の上に横座りさせることになった。


 俺が優結たちの相手をしている間に、巴の体は二人の姉によってほぼ洗われており、後は泡を流すだけ。

 しかし、娘たちの中では、どうあっても仕上げはパパがすることになっているらしい。


「パパを見るには……これがいる……」


 巴はラックに置いていた眼鏡をわざわざ掛け直し、俺をじっと見つめた。

 しかし――。


「ダメだこりゃ」


 湯気で曇っていたため、すぐに外した。


「もっと近う……近う……」


 手招きに応え、顔を近付けてやると、巴は両手でしっかり顔を掴み、やや眉間を寄せて、じっと見つめた。

 巴は生来視力が弱く、日常生活に眼鏡が欠かせない。

 裸眼の巴をまじまじと見る機会は限られているが、その瞳には強い意志と深い知性が宿っている。

 見つめ合えば、心を見透かされ、分析され、何らかの統計化されている気がしてくる。


「うむ、よい顔……♡」


 十秒少々、お互いの瞳を覗き込むような時間を過ごすと満足したらしく、微かに笑んで手を放した。


「よし、始めて……」


 両手を丸め、胸の前に置き、ラッコのような姿勢になった巴に、シャワーをかける。

 白い泡が晴れると、同様に白いが血の通った温かさを持つ素肌が現れた。


「今日も……なかなかよかった……♡」


 巴もさっぱりできたようだ。


「そろそろ美貴かなっ! ダーリンも、美貴をあらいたかったよね?」


 髪だけは自分で洗い終えたらしい美貴が、しなを作りつつ俺に寄りかかってくる。

 下ろした髪からしずくが落ち、俺の腹を濡らした。


「それとも後からがいい? みんなが出てから、二人っきりで入る……?」


「自分で洗えるんだから、自分で洗いなさい」


 耳元でささやく美貴を押し返し言う。


「どうしてそんなコト言うの!? 今日もダーリンをずっと待ってたのに、楽しみにしてたのに……!」


 両手を胸の前で握りしめ、瞳を潤ませ、上目づかいで言われると、俺はどうにもできない。


「分かった、洗ってあげるから座って」


「やったぁ! お礼はゼッタイするからねっ♡」


「はいはい」


 こうしていつも負けてしまうからいけないんだろうか。

 甘やかしていることになるのかもしれないな――。

 しかし、今はスポンジでその滑らかな背中を擦ってやるほかないのだ。


「あんっ♡」


「変な声を出すなら、もう洗わないぞ」


 ひやりとするほど甘い声を出す美貴に驚き、思わず手を引っ込める。


「ごめんね。がんばって声をがまんするから、さいごまでおねがいっ!」


「別にがんばらなくてもいいけどさ……」


「だって、んっ……がんばらなきゃ、んんっ……! 勝手に出ちゃうもん、んんぅぅっ……♡」


 押し殺したような吐息は、その後も止まることはなかった。

 それをできるだけ聞かないように努力しつつ、何とか全身を洗い終えた。


「ダーリンって、やっぱり上手。おふろのプロね! キレイになれたカンジ☆ 次は美貴がしてあげよっか?」


 自分のおなかを指で撫でながら、小さく舌を出す美貴を見て、俺はふぅと息を吐く。


 実のところ、美貴の言動にはある程度追い詰められている。

 この小悪魔の甘えぶりには容赦がなく、要求に応え続けているととんでもないことになりそうで、冷静な対応が求められる。

 しかし実際、美貴は無邪気で子どもっぽいだけの小学生なのかもしれず、無下にするのも可哀想だ。

 どこまで分かっていて、どこまで本気なのか分からない。

 そんな、アイドルじみたルックスの娘に、いつもついつい付き合ってしまう俺は、気付かぬうちにすっかり魅了されているのかもしれない。


「俺はいいから、優結たちと遊んであげて」


「みきちゃーん、あそぼーっ!」


「優結たちが言うなら、仕方ないわねっ♪」


 一足先に湯船へ入り、黄色いアヒルを振り回す妹たちの姿を見た美貴は、腰をふりふり、そちらへ向かった。


 そんな美貴とは打って変わって、翔子はさっさと自分の体を洗っていた。

 何だか安心するな……。


「何、ボクもあらってくれるの?」


 鮮やかな手際で身体を清める姿につい見入っていると、翔子がにやりと笑った。


「いや、もう終わるだろ?」


 全員を洗っているとさすがに疲れてくるし、長風呂になり過ぎてしまう。


「じゃ、あしだけでも」


 返す間もなく、翔子は椅子に座り、俺の前に小鹿のような脚を差し出す。


「分かったよ」


 ひとりだけ、何もないわけにはいかないか。

 俺はひざまずき、しなやかで、すべすべで、ほんのり日焼けしている健康的な脚を、泡で揉んでいく。


「お姫さまのお世話係みたいだ」


 実際似たようなものか。


「えー、ボクがお姫さまはないでしょ!」


 思わず口に出た呟きを聞き、小麦色のお姫さまがくすくすと笑う。

 俺の手の中からは、石けんに混じって、微かに汗のにおいがした。


 翔子の脚を洗うと、ようやく俺の番だ。


「ボクがせなか流すよ!」


「ああ、お願い」


 翔子と俺、二人掛かりで洗うことで、時間短縮を図る。

 娘にこんなことをさせてよいのか分からないが、経験上、この場合は好意に甘えるべきだ。


「ずる~い、美貴もまぜて!」


 こういうことがあるからだ。

 美貴は騒いだが、介入の余地を与えずに洗い終え、湯船へと急いだ。


 湯船は大混雑状態だったが、俺にとっては夢のような快適さだ。

 娘たちは入れ替わりつつ次々に抱きついてきて、口々に今日の出来事を話す。


「きぃちゃんがね、きいろのくれよんなくしたから、愛のをわけてあげたの!」


「図書室で……読めない本を……見つけたわ……。私でも知らない文字……きっと禁書……」


「理沙ねえさまなら、いますぐけっこんできるとおもうんです! おりょうりもじょうずだし、もう――」


 みんな、夕食時だけでは到底話し足りないらしい。

 俺だってそうだ。

 いつまでもこうしていたいんだ――。

【長女・理沙のウワサ 2】

お風呂から聞こえてくる声が大好きらしい。




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『パパ大好きな娘×8の日記! ~毎日アイをうけとって♡~』

https://ncode.syosetu.com/n5514co


お父さん。私たちは、二学期が始まりました。

可愛い妹たちがいっぱいな、夏休みの絵日記も、完成しましたよ!


そして、あっという間に9月――。

9月といえば、まずは――

優しいあの子の、誕生日ですよね♪

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