表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
パパと娘⁸のらぶらぶライフ ~うまれたときからアイしてるっ!~  作者: カンサー・プロジェクト
第一章 ハッピー・ハッピー・ウィークエンド! ~とある幸せな週末~
6/17

第六話 はしるぞ! ブタのたいぐん!

「とーちゃんっ! 約束通り、ゲームするよっ!」


 夕食が終わるやいなや、翔子はリビングのゲーム機を起動させた。

 自分の食器はもう洗ったようだ。

 遊びのこととなると、本当に行動が早い。


 他の娘たちも、それぞれ食器を片付け、テレビの前のソファに集まり始めた。


 まだ小さな優結たちの後片付けは、沙織と理沙がしてくれている。

 妻と長女には毎日家事をしてもらっているので、片付けだけでも手伝おうと思うのだが、いつの間にか二人が済ませてくれていることが多い。

 以前、少し後ろめたさを感じていた俺に、妻曰く。


「あなたは、みんなのお相手をしてて。あなたが洗い物をしていると、みんなキッチンへ押しかけてきて、大変でしょう♪」


 ――とのことだ。

 元気があり余っている娘たちの遊び相手になるのも、大事なことというわけらしい。


 また、理沙も――。


「私、お家のお仕事をするのが、大好きなんです……♡」


 ――と言ってくれる。

 それは本心だろうかと、前は思っていた。

 もし、長女であることの責任感から頑張ってくれているのであれば、申し訳ないどころの話ではなくなる。


 しかし、沙織といっしょにずっと見ていると、どうやら本当に楽しんで家事をしてくれているようだ。

 お母さんからのレクチャーを受け、その腕も急上昇しているので、今では安心してお願いしている。


 二人には、後でたくさんお礼を言っておこう、と思いつつ――。

 まずは目の前の勝負に集中することにした。




---




 画面に映し出されるのは、先ほども娘たちがプレイしていた、『トン走! ピッグレーシング』。

 メーカーともども、あまり有名ではないレースゲームで、俺もノーマークだった。

 しかし、お店でたまたま優結が見つけ、購入を熱望したために、我が家のラインナップに加えられることになったのだ。


 絶妙にリアルなモデリングのブタたちが、自由を求めて牧場から逃げ出すも、牧場からの刺客・狩猟ブタたちの追跡の手が迫る――というストーリーが付いている。


「あ! はじめの、とばしちゃだめよ!」


 優結が俺の膝の上へ飛び乗りながら、デモムービーを見る。


(優結が見つけなければ、このゲームで遊ぶことも一生なかっただろうな……)


 可愛らしくもシュールなムービーを見つつ、俺はそんなことを考えていた。

 娘たちはいつも俺の人生に、新しい出会いや発見をくれる。


 このゲームは、逃げるブタチームと追うブタチームに分かれ、対戦ができる。

 チームメンバーの順位や活躍等を総合して勝敗が決まるほか、協力して相手チームを妨害したりもできるのだ。

 意外に奥深いゲーム性と、プレイ中は優結が大層喜んでくれることにより、我が家ではなかなかの人気コンテンツとなっている。


 今からプレイするのは、三対三のチーム対戦。

 じゃんけんの結果、俺は逃げる側として、凛、華弥と組むことになった。

 対するは、翔子、美貴、巴の追跡チーム。


「負けたらバツゲームがあるからねっ! カクゴしなよ、とーちゃん♪」


「ダーリン、勝負では手かげんなしよっ!」


「ただ勝つだけでは……つまらない……。どう追い詰めて勝てば……楽しいかしらね……♪」


 自らの勝ちを疑わない、余裕な様子の追跡者たち。

 確かに相手チームは強敵だ。

 三人とも、普段からよくゲームをする。

 特に翔子と巴は、ジャンルを問わず様々なゲームで競い合っているライバルのような関係であり、ゲーマーとしては我が家のツートップだ。


 しかし、俺もそんな娘たち相手に日々鍛えているので、負けてはいない。


「パパがんばれ~!」


「がんばー」


 愛と優結が踊りながら応援してくれる。

 二人ともゲームを触ることもあるが、今夜は応援の気分らしい。


 俺の周りで飛び跳ねたり抱きついたりしてくるので、正直少しゲームをやりにくい。

 だが、それを上回るほど、力をもらえる。


 俺の仲間の凛と華弥は、相手の三人に比べると、ゲームに慣れていないはず。

 しかし、うまく連携すれば十分に勝てる……!


「凛、華弥、いっしょにがんばるぞ!」


「ええ、何があっても、ぜったいに、私が華弥を守るわ。いざとなったら、あんたをタテにしてでも……!」


「いや、華弥とも俺とも協力しないと勝てないって」


「華弥は、お父さまについていこっかな……。華弥のブタさん、きっとお父さまのブタさんのこと、だいすきだとおもうの……♡」


 ゲームの目的を見失っていそうな凛と、新たな設定を追加する華弥。

 このチームはうまくいくだろうか――。




---




『プギィィィィッ!!!!』


 華弥の操るピエトレンが、大柄なラージブラックを弾き飛ばした。

 偶然にも強化飼料を拾い、パワーアップしたのだ。


『ブモアァァァ……ッ……モアァァァ……ッ……ァァァァ……ッ……!』


「なんとぉ!?」


 ラージブラックはやけに迫力のある鳴き声をエコーさせつつ、コース外へと落ちていく。

 翔子は、相棒のあまりにもあっけない脱落に、驚きを隠せない。


 先ほどから、華弥が意外にもいい動きをしている。


「わぁ、華弥のブタさん、すごい……。くろいブタさん、だいじょうぶかな……」


 思わずつぶやく本人は、ゲームのルールをよく分かっていない様子だが、今日はツイているらしい。

 狙ってもなかなかできないほどの、ファインプレーの連続だ。


「ふぁ~~~おっ! かっこいい! うっきょーっう!」


 様々なブタたちが魅せる、体を張ったバトルに、優結の興奮も最高潮。


 一方、凛は――。


「これ、何で反対に行くの!? パパ、何とかしてよ!」


 壁に向かって走り続けたり、逆走したりと、散々だ。

 なかなか焦っている様子。

 最近は俺を“あんた”などと呼んでいるのに、幼い頃の“パパ”呼びが復活してしまっている。

 ちょっと面白いが、おそらく無意識だろうし、今はそっとしておこう。


「あら……そんなに可愛いことを……していると……いたずらしたくなっちゃう……♪」


 柵と箱の間に挟まった凛のハンプシャーを狙うは、巴の愛豚、狡猾なるデュロック。

 巴の眼鏡がきらりと光る。


『ブモウゥゥゥンッ――!!』


 しかし、俺のサンゲントンが箱ごと(ハンプシャー)を跳ね飛ばし、辛くも(デュロック)の罠から救い出した。


 優結の大好きなサンゲントン。

 その扱いには慣れているのだ。

 優結のリクエストを受け、日頃から使い込んでいるからな!


「え!? 私、飛んだの?」


「ぐぬぬ……さすがパパ……」


 その後も、美貴のラージホワイトが俺を執拗に追って来たり、復活した翔子(ラージブラック)が再び華弥(ピエトレン)に突き落とされたり、色々あったが――。


 俺たちのチームは、勝てた。

【五女・巴のウワサ 1】

一番好きなイノシシ科の動物は、バビルサらしい。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ