2、孤高の黄
更新は基本的に19時の予定です。
ライラックと軽く会話をした少年は、自分の朝食をお盆に乗せるとライラックの正面に座った。
ロダンと呼ばれた少年は、短く切られた暗い金色の髪とそれに近い琥珀色の瞳が特徴的で、爽やかな笑みを浮かべている。
ロダンダス・アイーク。彼はこの大学内におけるライラックの親友であり、唯一の友であった。
「あ、ザックのが早かったみたいだよ。」
ライラックの言葉にロダンダスが振り返ると、1匹の獣がゆっくり歩いてくるところだった。小型犬ほどの黄色い体には斑点模様があり、その体に似合わぬほど長い尻尾にも体と同じ模様が続いている。
ザックと呼ばれた獣は、黄豹という種族であり、レクターと同じく聖獣の1種である。
この世界に存在する聖獣は、大きく2つに分けられる。グリフォン、フェンリル、クラーケンが最も希少で強いと言われる3種で人々はS級聖獣と呼ぶ。次にA級聖獣は5種で、黄豹、赤鷹、青鮫、白蛇、黒蠍である。
つまり、レクターとザックは同じ聖獣ではあるが強さにおいてはレクターのが上なのだ。とはいえ、戦闘時以外はどちらも自分の楽な大きさでいるためとても戦闘力の高い獣たちには見えない。
「ザック、どっち食う?」
ゆったり歩いてくるザックに肉と果物を見せ尋ねるロダンダスは、ザックが反応すると果物を投げた。
それを受け取ったザックはそのまま来た道を戻り、食堂の外へと消えていった。
「今日は果物の気分だとさ。」
「ザックは一緒にご飯食べないよね。」
黄豹は基本的に群れを作ることはない。1匹で狩りを行い生活しているため、それが使い魔になっても変わることはなかった。それでもロダンダスが呼べばどこからともなく現れるため、特に困ることはなかった。
「まぁ俺らはお前らみたいに一緒に授業受けたりしねーからなー。騎士は普通、使い魔いねーもん。」
その言葉にライラックは数ヶ月前を思い出す。
ここ、国立大学では2年の基本授業を終えると騎士か魔術師かを選択するが、ロダンダスは両方受けたいと言い出したのだ。
無論、普通の生徒であればありえないことだが、ライラックと共にロダンダスも成績優秀であり、どちらの才能もあった。そのため、魔術科特有の使い魔召喚も行なったのだった。
「一緒にって言っても、レクターはほとんど寝てるよ。それに魔術に関してはレクターの方が知ってるし。」
そんな会話をしていると、当の本人が眠そうに食堂に現れた。
「ライの黒髪はほんと目立っていいな。」
「もう、黒じゃなくてこげ茶だってば。」
レクターの言う通り、ライラックの髪は極めて黒に近いこげ茶で、この辺では珍しい色だった。それと同じ瞳の色をまた珍しいが、少しくせ毛なところやタレ目なおかげで怖い印象にはならないのが救いだ。
「そんなことより、早く食べないと授業遅れちゃう。」
ライラックの隣に座ったレクターはそんな言葉を聞きながら、相変わらずマイペースに朝食に手をつけた。