予告編
僕はなぜ、こんなところにいるのだろう。
僕はなぜ、このような場所に来てしまったのだろう。
まぁ、考えてたって始まらない。
この世界に友達はいない。
否、そもそも人間がいない。
いや、あいつらからしてみれば、僕も一つの「生物」でしかない。
そして僕は、この世界では、いわゆる「害虫」というやつなんだ。
相棒は、この「絵筆」のみである。
これも、お喋り機能かなんかあったらいいのに、うんともすんとも言ってくれない。
だけど、こいつは僕の思念だけには答えてくれる。
だから、立派な相棒であり、そして武器なのだ。
あいつらは、自分がなんなのか自覚しているのだろうか。
自らの身体が何で構成されているのかを、知っているのだろうか。
僕はこの世界に来て1週間で、自らの身体もあいつらと同じという現実を、受け入れなければならないことになった。
なんでかって?
あいつらに襲われたとき、身体から出て来たものは、血ではなかった。
確かに赤色ではあるんだ。
しかし、血よりももっと粘っこい、どろりとした個体。
絵の具だったから。
これは、1人の男の子の、突飛なお話である。