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01

 血液検査からレントゲン、MRIまで、ありとあらゆる検査は受けたが、原因が判らない。とりあえず一ヶ月の入院が決まった。

「目まいとか、他に気になる症状は?」

 開発部に所属する主治医が紙に書いて差し出したので

「目まいは、あります」

 と書くとかなり難しい顔をしていた。

 同じ開発でも、この人たちに『スキャニング』の話をしてもよいのか、水城さとみが来たら聞こう、と思っていたら一週間後にようやく姿をみせた。支部長も一緒だった。

「ごめんなさい、どうしても外せない仕事があって」

 水城はつい、いつもの調子で話しかけたが、サンライズの表情をみて「ごめん」と手を合わせた。

「手話は?」

「少しは」

 かなり以前リーダー研修で数時間、習っただけだったのでよく覚えていないが簡単な表現だけは使えた。

「ステロイド、代謝促進剤、血流改善、ブロック注射、試せるものはすべてやっているそうだ。原因についてだが、近くでの爆発や頭のケガなどの体験は近頃ないし、病気も考えられないようだ」

 支部長が、水城に手話つきで説明している。

「原因が、思い当たるか?」

 支部長が用意してあったスケッチブックにそう書いてきたので、続きに

「スキャニングの訓練が続いてから、目まいが始まり、ある朝、駅で急にまわりの人全てが話しているように聞こえた、うるさい、映像もフラッシュ」

 と急いで書く。

「どのくらい続いた?」

「数分。次の発作はカイシャで数日後」

 支部長は、うんうんとうなずいている。

「聞こえなくなったのは」

「先週火曜日、朝起きたら全然」


 一週間たっても、全然よくなっていないのはいけない兆候らしい。

 次の一週間で何も効果がなければ、もしかしたらずっと聴力は戻らないかもしれないのだそうだ。


「今、スキャニングできる?」

 水城に聞かれた。サンライズは首を横にふった。

 耳の穴に砂でも詰まっているような重さがつきまとっていた。

「少し、失礼するよ」

 支部長は手刀をきってサンライズにそう伝え、水城を外に連れ出した。

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