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01

 サンライズ、翌朝にはまた叩き起こされた。

 すぐ、もう一人の男の尋問に入るのだそうだ。

「どっちが味方だか、分かってんのかな」

 ライトニングの部屋に行くと、着替えながらぶつぶつ言っているのがわかった。明け方近くまで重労働を行っていたので、かなり眠そうだった。

 それでも、顔を洗って軽い朝食が済むと、少しはしゃっきりしたようだった。


 もう一人は、最初からライトニングがやってみた。

 昨夜のようにおおむね、うまくいった。

 こちらはジムで捕縛された男だったが、ゆうべのヤツよりは詳細について知らされていないようだった。それでも、最終目的地が福井だということは判明した。


 尋問が一通り終わった時には、昼をとっくに過ぎていた。

 すっかり冷めてしまった食事をとりながら、二人は、ぼんやりとそれぞれの思いに捕われていた。

「せんぱい」

 たまたま顔を上げた時、ライトニングの口が動いた。

「何?」

 あ、オレまた耳のこと忘れてた、とライトニングが額に手をやる。

「今度のこと、ほんと、すみませんでした」

 二人分の尋問結果の報告をまだ読んでいないので、サンライズには何をいいたいのかがぴんとこなかった。

「なぜ謝る? 尋問はうまくいったようじゃないか」

「いや……」

 ライトニングは頭をかいた。

「オレのせいで、センパイまで襲われて」

「そうなのか?」

「はい」

 それは後で報告書をゆっくりみるよ、とサンライズはまた箸をとり上げた。


 やっぱり福島の米はうまかった。

 そうだ、見舞金で米を買って送ろう。

 

 午後は自由時間だった(元々土曜日に働かせるほうがどうかしている)ので、自室で報告書に目を通し、ようやくライトニングが謝っていた訳がわかった。

 父親とのトラブルの件も記述があった。

 気になるのは、組織の介入だった。

 大尉のミスター・Bという男は、サンライズも聞いたことがない。

 まあこれは、MIROCで調べてくれているだろう。

 それでも、ライトニングが早くから目をつけられていたという点が驚きだった。支部長は、本当にいいタイミングで彼を拾い上げたことになる。小耳にはさんだ話から、居酒屋に訪ねて行ったとは。

 それとも……


 初めて、サンライズはひやりとしたものを感じた。


 支部長は、始めからその件を知っていて、彼を訪ねて行ったのか?

 あの人ならば、ありうることだ。

 前々から密かに疑問に感じていたことも、頭の中で蒸し返してしまう。


 もしかして、オレを局から解雇させたのは、実はあの人だったのでは?

 最初からMIROCに連れてくるつもりで。


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