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尋問は四〇分は続いただろうか。そのうちに、男の消耗が激しくなってきたのが、サンライズからも分かった。
ふらふらする頭を、ライトニングがしっかりおさえてやっているかのように見えた。
しかし、ちゃんと答えているらしいのが、書記の手の動きからも分かった。
恐るべき能力だ。ライトニングはちゃんと力を使っている。
―― オレはだめだった。何か、見えかけた気がした。白い点のような光が。
しかし、何も聴こえてこなかった。
以前東京の開発部で練習した技術だった。
スキャニングの基礎を学んでいる頃のことだ。
水城によく、言われたものだ。
「いい? まず白い光がみえると思うの、それに集中して。集中」
光が広がる、もしかしたら映像もあるかもしれない。光がはっきりすれば音も聴こえてくる。声とかもね。それに訊ねるのよ、そうすればその人間の心の中が分かる。アナタの場合は、まずそこから。他のシェイカーが同じことをできるかはまた別。やり方は色々あるけど、基本は同じ。まず、相手の心に近づく、そして、集中。
喜びより、むしろおののきに近い思いで、聴きとりをするライトニングを見ていた。
自分のように、頭痛はおきていないようだ。目をしっかりつぶっているが、特に苦しそうな表情はない。男はすらすらと答えているし、力も長時間、影響を与えているらしい。
男が、泣き出したのがみえた。わななく口が何か告げている。
ライトニングが、ぱっと手を離し、汗だらけになった手を椅子にかけてあったタオルで拭く。困ったようにサンライズをみた。
「どうした」
「もう眠らせてください、って。限界のようだ」
サンライズは書記をみた。書記もかるくうなずいたので、立ち上がりながら言う。
「終了しよう」
ライトニングがインターコムを取り上げた時には、男はすでに机に突っ伏して爆睡していた。




