01
二人の男の取り調べを、ライトニングがやることになった。
「うちのとっ、いえ父が関係しているかも知れないので……」
恐縮する彼に、センター長が優しく言った。
「分かっている、すまないが内容はすべて録画させてもらう。念のため誰か付けていいか?」
「それならば、ぜひセンパイを」
誰それは? って顔をされたので
「サンライズ先輩をお願いします」
と言って、頭を下げる。
センター長は、特殊開発部の担当を呼んでしばらく難しそうな話をしていたが、どこかに電話をかけて指示を仰いでいた。
しばらく話をしてから、受話器を置き、改めてライトニングに向き直る。
「東日本支部長から許可が出た。サンライズと一緒に尋問をしてくれ」
夕方から一人目の尋問となった。
部屋には机にライトニングと男が向かい合って座っていた。
サンライズは、二人の顔がみられる奥側のサイドに席をとる。
隅の小机には開発部の書記、ドアの外には念のために一人、立ってもらった。
書記はシェイカーのことをよく知っていたので、問題はない。尋問は開始された。
始まってしばらくして、サンライズは目が疲れてきた。
ライトニングが何かたずねる。相手が答えない、またライトニングが聞く。相手が答えない、それを書記が延々と書きつづっている。
卓球の試合も、こんなに近くでみるとこういう感じなのだろうか。
見るところ、ライトニングは相手をぜんぜん『押して』いないようだった。
サンライズが机をこんこん、とたたいた。
ライトニングが向いたので
「押してみろ」
と手話で言うと、すねた顔をして机をみた。
できないらしい。
午後の活躍では、あんなに見事に力を使いこなしていたのに。
しかも、頭痛はしないらしいし、理想的な『力』の使い手だ。
なのに、こんなに簡単な場面ですぐ使えないとは。
時計をみると、すでに真夜中だった。
いつもならばとっくに寝ている時間だ。
これ、いつまでやるんだろうか?
書記は途中で数回交代しているし、表の警備すら交代したらしい。
相手の男もそうだが、ライトニングにもかなり疲労の色がみえた。
「終了時間の予定は?」
メモに小さな字で書いて彼だけにみせる。
彼は悲しそうに首をふった。
何か収穫がなければ、終われないということなのだろうか?
それはあまりにも悲し過ぎる。
サンライズは立ち上がった。
眼鏡を外してテーブルに置く。




