04
扉が開いた。
ライトニングはゆらりとふり向く。
外は小ぬか雨だが、かなりまぶしく感じられた。目を傷めないように気を付けて、現れた男の様子を見る。
「オマエ……」
外の男はいつの間にか、運送会社のジャケットを羽織って眼鏡をはずしていた。
「タクマじゃ、ないな」
少し頭を振って、すっきりさせようとしている。短めの銃を構えていた。
「タクマはどこだ。さっきの音は」
「オレ、タクマだよ」
―― びくつくな、コイツはまだぼんやりしているぞ。
「それより大変だ、コイツ、」
銃に見せかけた筒で、人形を指す。
「息をしてないようだ」
「何だって?」
男が急いで上がってきた、と、そこにサンライズの一撃が決まる。
男は声もなく崩れ落ちた。
「うわーい」
ライトニング、何の感動も起きず棒読みで叫んだ。
―― これがここでの日常茶飯事なのか?
「センパイ、MIROCってさ、殴っていけねえんでないのかい?」
先輩は、気にするな、というように肩をすくめてみせた。
さっさと縛れ、と言いつつ男の持っていた銃を取り上げる。
彼らは運転席に移りながら、気をつけてあたりを見渡してみた。
広い森のような木立の向こうに、利休鼠にかすむ水面がみえた。猪苗代湖のようだった。
感じからして、湖の北西部から西側のあたりらしい。カラスがのどかに鳴き交わし、どこからか車の通過する音が響いて消えていく。
ライトニングが見る限り、他にヤツらの車や仲間らしい影はなかった。
目的地にはまだたどり着いてなかったようだ。
「帰りましょう、センパイ」
彼は助手席のサンライズに言って、ポケットから通信機を取り出した。
「おやつに間に合わねぐなっちまう」
途中でMIROCの追跡車両らしい二台とすれ違ったので、彼は愛想よく手を振って、センターへと戻っていった。




