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こうして、だいたい毎日午後の予定が固まってきた。
月水金がジム通い、火木土が机に向かっての研修、ビデオクリップによる説明があったり(わざわざ字幕対応にしてあった)、ケーススタディーの勉強会のようなこともあった。また、初回にやったような一対一のトークプログラムもあった。
サンライズは、かなりライトニングの口が読めるようになってきた。
ライトニングも手話が巧みになってきた。だがやはり、つい声が聴こえていると思って他所を向いてしゃべってしまい、彼に伝わってないことも多い。
ジムにいる時のほうがまだお互い気が楽だった。
研修では、必ず最後にレポートのまとめが義務付けられている。
ライトニングは、まとめ文章のフォーマット末尾につけられた
「本日の行動成果を数値化せよ 0‐9」
という項目に、最初はとまどっていた。
「これ、どうゆう意味よ」
今日の自分は点数にして何点? ということだ、と説明すると、首をひねりながらもまじめに考えているようだった。
彼はたいがい「8」か「9」とつけていた。
自分に甘い、というよりは楽天的な性格なのかもしれない。
翌週水曜日午前中に、サンライズにとっては久しぶりの、ライトニングにとっては初めての射撃訓練があった。
こちらは、センター近くの自衛隊実弾射撃場を一部借用した。
ライトニングは本部の研修でかなり座学は受けていたらしく、警察官とMIROC特務員との銃使用について法的根拠の違い、使用していい条件などを延々と講義をきき、一般的な火器や銃器などの説明も受けたとのことだったが、実際に銃など撃ったことも触ったこともないと言う。なので、射撃場についてもまず、拳銃の手入れ方法と構え方、弾丸の着脱方法などを延々とやらされていた。
サンライズもあまり積極的に銃を触ることはなかったのだが、ライトニングの姿にも、どうも仕方なく触っている、という感じが見え見えだった。
「居酒屋じゃあ、こんなの使わねえかんな」
そう言ったのが分かったので、ぽん、と肩をたたいてやる。
もちろん郵便屋も使わない。この仕事になっても、使わないで済むに越したことはない。
それでも、ライトニングは射撃訓練の数値も首をひねりながらも「8」と書いていた。




