夢の音
初めて投稿いたします。皮肉な感じが伝われば幸いです。
朝、目が醒めると妻の明子に言われた。 ‥‥あなた、夢の中で料理でもしてたの?
ああ、思い出した。なぜか電子レンジの買い替えの必要があり、各種のレンジを店頭で比較してる夢を見てたのだ。
翌朝も似たようなことがあった。
‥‥うなされてたわねぇ。救急車のサイレンも聞こえてたし。お仕事のほう、大丈夫?
交通事故の現場に居合わせた夢を見てたのだ。驚いた。
どうやら夢の音が鼓膜を介してだろうか、筒抜けになってるらしい。
さっそく仕事の合間に薬局を訪れ、最も高い耳栓を求め夜に備えたが、その現象は続いた。
しばらくは当たり障りのない夢だったのだが、やはり、その夜は来た。夢に江利香が出てきて、こう言った。
‥‥あら、顔色が悪いわよ?
‥‥実は、女房に知られる‥‥‥はずだ。
‥‥え?もう、こんなふうに会えないの?
‥‥ああ。僕にとって、やはり実際の生活が大事なんだ。
手短かに行為を済ませ、手早く江利香の首を絞めた‥‥涙とともに。
江利香の息が止まった瞬間、目が醒めた。
明子は言った。「あんた、女を逝かせてたわね?聞こえてたわよ」
背後を見透すような目だった。
‥‥お前のために殺したんじゃないか。本当は殺したくなんかなかったんだぞ!
もっともっと多くのことを言いたかったが、結局は何も言えなかった。
まだまだ、投稿しますね。よろしく‥