第57話:幸せのお裾分け
近くの公園のベンチで先ほど買ったクレープを食べる私達。
「ん〜!甘くて美味しいっ!」
よほどおいしかったのか足をバタバタとさせて悶える昧。
「本当に美味しいね」
もぐもぐとクレープを食べていると
「一口もらってもいい?」
「うん。はい」
そう言って私は昧にクレープを差し出す。
「あ~ん。
ん〜!!こっちも美味しい!」
幸せそうに笑う昧を見ているとこっちも嬉しくなる。
「じゃぁ、はい。私のもあげる」
お返しとばかりに私にクレープを差し出してくるので一口。
ぱくり。
イチゴの甘酸っぱさがクリームにマッチしていてとても美味しい。
店主さんがオススメしただけはある。
「えへへ。こういう小さな幸せを分け合えるのってなんか、いいよね」
「私はいつも2人からお腹いっぱいになるくらい幸せを分けてもらってるよ」
私がそう言うと「舞桜〜っ!」といいながらガシッ!とハグをしてくる。
「私も舞桜と一緒にいれて幸せだよっ!」
すりすりと匂い付けをする猫みたいに頭を私の胸に擦り付けてくる。
「ちょ、昧......もう」
口では文句を言いながらも優しく頭を撫でてあげる。
「えへへ、舞桜の撫で方とっても優しくて好き」
しばらくすると満足したのかすっと離れる。
「よしっ!十分に癒されたし!次のところ行こー!」
お〜!と拳を振り上げて言う昧のポケットから通知音。
「なんだろ?」
首を傾げながらスマホを取り出して操作をする昧。
「あ、あわわわ...」
スマホを見ていた昧の顔がさぁぁぁっと青くなっていく。
「どうしたの?」
そういいながら昧のスマホを覗き込むようにして見てみると
「え~っと、去年進級がギリギリだった生徒に通達?
至急教員科へ集まるように、来なかったら留年を決定する?」
なんて理不尽なメールなんだ...。
「ごごご、ごめん!私急いで行ってくるっ!」
押し付けるようにクレープを私に渡した後、大慌てで走っていく昧の背中を「き、気をつけて...」と見送るしか出来なかった。
......いきなり暇になっちゃった。
あと、この両手のクレープどうしよう...。
さすがに2つも食べるのはなぁ。
かと言ってこのままだとアイスが溶けていくし...。
2つとも食べかけな以上誰かにあげることもできない。
......うん、諦めて食べよう。
太ったときのことは、その時考えればいいや...。
などと半ば諦めてもぐもぐと食べ始める私。
体型が変わってしまうと戦闘時の感覚に違いが出てくるため、できるだけ一定でいたい。
この後軽く運動でもしようなどと考えていると
「お前、 そんな食いしん坊だったのかよ...」
と呆れ顔の漣が後ろから声をかけてくる。




