山の静寂
ワイオミング州のビッグホーン山脈は、秋の終わりを迎えていた。山の斜面を覆うカラマツの針葉は、黄金色に染まり、風が吹くたびに細かな雨のように地面に降り注いでいた。朝の空気は冷たく、霜が草の先端で白く光り、主人公のジェイク・ハリソンは吐く息が白く立ち上るのを見ながら、祖父の小屋のポーチに立っていた。小屋の周囲には、風に揺れるポンデローサマツがそびえ、その樹皮のひび割れからかすかに松脂の甘い香りが漂ってくる。遠くの尾根では、朝日が岩肌をオレンジに染め、谷間にはまだ薄い霧が漂っていた。
ジェイクはライフルを肩にかけ、祖父の猟犬である老いたアフガン・ハウンドのマックスが足元で鼻を鳴らすのを聞きながら、山の静けさに身を委ねていた。アフガニスタンの乾いた砂漠とはまるで別世界だ。あそこでは、風は容赦なく砂を巻き上げ、耳を劈く銃声と焦げた硝煙の臭いが絶えなかった。だがここでは、風は柔らかく、木々のざわめきと小川のせせらぎだけが聞こえる。自然が彼を包み込むように感じられたが、心の奥底に巣食う暗闇は、そう簡単に消えてはくれなかった。
祖父のハリーは、薪を手に小屋から出てきた。82歳になるその老人は、しわが刻まれた顔に深い風格を湛え、山の暮らしに馴染んだ頑丈な体躯をしていた。「鹿の足跡を見つけたぞ、ジェイク。昨日、渓谷の西側でな。行ってみるか?」と低い声で言った。ジェイクは頷き、マックスを連れて祖父の後を追った。
森の中へ入ると、空気がさらに冷たく澄み、地面に積もった落ち葉が足の下でカサカサと音を立てた。シダレヤナギの枝が川沿いに垂れ下がり、その葉はまだわずかに緑を残していたが、風に震えるたびに水面に影を落としていた。渓流は透明で、底に沈む丸石が陽光に照らされてきらめき、時折小さなマスが銀色の閃光となって泳ぎ去るのが見えた。ジェイクは一瞬、その流れに目を奪われた。少年たちの血が砂に吸い込まれていく光景がフラッシュバックしそうになったが、彼は深呼吸をしてそれを押し戻した。この山の美しさは、癒しであると同時に、彼の罪を映し出す鏡でもあった。
祖父が立ち止まり、地面に膝をついて足跡を指さした。「ここだ。牡鹿だな、立派な角を持ってる。追うか?」ジェイクは黙って頷き、ライフルを構えた。スコープ越しに見る世界は、アフガニスタンでの任務を思い出させる。少年兵の怯えた目、引き金を引く瞬間の重さ。でも今、彼が狙うのはただの鹿だ。命を奪うことが再び彼の手にかかっていることに、皮肉を感じずにはいられなかった。
森の奥深くへ進むと、風向きが変わり、湿った土と腐葉土の匂いが鼻をついた。どこかでキツツキが木をつつく音が響き、マックスが耳を立ててそちらを向いた。太陽が雲に隠れると、森全体が薄暗くなり、木々の影が長く伸びて地面に絡み合った。ジェイクは足を止め、耳を澄ませた。かすかな枝の折れる音。鹿が近くにいる。彼は祖父と視線を交わし、静かに前進した。
その瞬間、山の静寂が彼を包み込み、初めて心が軽くなるのを感じた。アフガニスタンでの血と汗と叫び声は遠く、ここにはただ自然と彼、そして祖父だけが存在していた。引き金を引く前に、彼は一瞬だけ目を閉じた。山が彼に与えたこの平穏を、しっかりと胸に刻み込むために。