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前編

暗い話ですが、宜しくお願いします。

「ああいや、正確には8年後の卒業式の3日後に処刑される、かな」

『は?』と聞き返えす捜査官に僕は補足して説明した。

「僕さ、未来から戻されてきたんだよ。卒業式のパーティーに参加しようとしたところ、いきなり衛兵に取り押さえられてさ。会場に居たカレン(公爵令嬢)ディラン(第二王子)の前に引きずり出されたと思ったら断罪劇の始まりだよ。身に覚えの無い罪に次々と出てくる証人に証拠。あれよあれよという間に僕は牢屋に入れられ3日後に処刑されたんだよ。しかもさ、貴族は基本毒杯なのに僕は平民同様に斬首刑。そこで死んだと思ったら過去に戻っていた訳さ」

あの時の衝撃を思い出して首筋をさする。

捜査官はアングリと口を空け、かたわらの魔導器を凝視する。嘘を述べれば赤く輝く秘宝は何の反応も示していない。当然だ、嘘は言っていないのだから。

「大体僕が犯した罪ってのも酷いよ。まず婚約者をないがしろにしたって言うけどさ、学園に入学する時にはもうカレンはディランに乗り換えて僕の事を居ないものとして扱っていた。茶会に誘おうとして招待状を送っても無視。仮にも王太子の招待だよ?断りの返事位送れば良いのに無視って。普通ならそれだけで不敬罪だよね。歳費の使い込みだってそうさ。僕は糾弾されるまでそんな予算が付けられていたことなんて全く知らなかった。

なのに私がカレンを侮辱したところを目撃したという証人が出てくる。財務官からも、王太子の予算から使途不明金が支出されているという文書が提出されていた。ここまで来ると分かるよね。もうここにいる全員が公爵とディラン側に付いたって」


私は襲ってくる眠気を堪えるために再びコーヒーを飲む。


「そこからも茶番さ。僕は彼女から婚約破棄を突きつけられ、そのまま外へ連れ出された。その後ディランはカレンに婚約を申し込み、カレンは涙を流しながらこれを受ける。かくして悪は裁かれ、真実の愛がここに誕生。皆は拍手喝采してパーティーは開始された、らしいよ。」


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