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カ・え・ダ・ま…………  作者: 円間
9/18

スリーブラックゲーム3

 児玉は思う。

 児玉の目の前の小笠原だが、これは代理人委員会の国広平くにひろたいらという、代理人委員の奴じゃないか?

 そう言えば小田切も代理人委員だったような。

 代理人委員。

 この高校には生徒の代理人を務めてくれる代理人委員会というものが存在する。

 代理人委員会の生徒は代理を依頼した生徒になり切り、代理を依頼した生徒として活動する。

 周りの生徒や教職員も代理人の生徒を代理を依頼した生徒そのものとして扱わなければならない。

 それに従わなければ退学処分と言う厳しいペナルティーがかせされる。

 狂った様な校則だ。

「お前、小笠原の代理人か!」

 児玉は小笠原、いや、国広の顔を凝視した。

 ディーラーの小田切が数を数え終わり、カードが交換される。

「チェンジ」

「未来。やっと気付いたみたいだね。児玉君」

 殺人鬼が近づき麻袋を脱ぐ。

 その顔は小笠原仁本人だった。

「初めから。全員グルだったんだ。晴馬くんは死体の役をやってくれて、古谷君も協力してくれた。国広君は僕の代理人になってゲームを……」

「チェンジ」

「現代」

「なんでこんな」

「なんでって。きみのためだよ」




 ゲーム終了までの時間はもう一分を過ぎていた。

 ゲームは続いている。

「俺の為ってどういうことだよ!」

 殺人鬼、いや、小笠原は目を細めて見ながら落ち着いた様子でゲームの成り行きを見ながら児玉のその問いに答えた。

「未来」と小笠原が言う。

 小笠原は話を始めた。

「だって。僕をいじめるきみを僕の中のぼくが殺したがってる。それを止めたくて。そのために、君にいじめをやめてもらいたくて。でもお願いしてもきみ、いじめをやめてくれないから。怖い思いしたらやめてくれるかなって。いじめをやめたがってた晴馬君と古谷君が協力してくれて。それで代理人委員会に相談をして国広君も、小田切さんも計画に協力してくれることになったんだ。ねえ、いじめ、やめてくれよ。じゃなきゃ、三分後、本当に僕は……頼むよ! 頼むよ!」

 小笠原が児玉に縋りつく。

 小笠原はとても苦しそうな顔をしている。

 児玉は……児玉は…………。


 ゲームは続いている。

 代理人の小笠原から児玉に過去のカードが渡る。

 小笠原が言った。

「三分過ぎた。君の負けだ」

 そう言った後で殺人鬼が過去と言う。




 スリーブラックゲーム……三分間のカードゲーム。

 このゲームを始めれば赤ずきんはオオカミを連れてくる。

 そうして羊飼いは生贄になる。

 過去の羊は鍵を持つ。

 現在の羊は檻の中にいる。

 未来の羊は羊飼いを連れてくる。

 生贄は檻に入れられるとオオカミになる……。






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