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緑銀のうた

笛の話が書きたくて。

楽しんでもらえるといいのですが……よろしくお願いします。

―――深く息を吸い込み意識を集中させる。


 小さな歌口に息を乗せると、笛の音が辺りを包んでいった。


 リーシャは笛の音に魔力を乗せ、死者の魂に寄り添い浄化していく。

 かの人々がこの世に生まれたことを尊び、生きてきた人生に敬意を表し、この世での未練に思いを寄せ、音を紡いでいく。


 残された人々が抱えてきた、それぞれに大切な人への思いを自身が受け止められるようにとの願いを込めて。


 死者の魂を鎮める音楽うたを……

 残された人々の心を癒す音楽うたを……


 人々の目から涙がこぼれ出す。

 亡き人に馳せる思いが溢れてくるのがリーシャの元へと伝わってくる。

 亡き人々、残された人たちの思いが絡まり、混沌としていた波動がほどかれていくのを感じる。


―――もう涙をこらえる必要はないのだから。


 今は泣いてほしい。

 あなた方の胸に楔のように刺さったままの感情。

 どうか涙と共に外へと出して。

 元に戻ることは叶わないけれど。

 どうか、どうか……自分を取り戻してほしい。


 願いを込めながら、リーシャは笛を奏で続ける。


 皆が歓喜の声もなく涙を流す光景は、この慶事の場に相応しいものではなかった。しかし、そこには悲しみを受け止め、ようやく前を向こうとする人々の姿があったのだった。


今日、もう一話投稿します。

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