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だから言ったのに!〜婚約者は予言持ち〜  作者: キムラましゅろう


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特別番外編 僕のアメリ

        

        思惑のお茶会へ



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「へぇ、じゃあ無理やり城に連れ帰ったのか?

アイツ、やるなぁ」


今やこの国の王となったアルジノンが今回の騒動の事の顛末を聞き、そう言った。


「やるなぁじゃないわよ、まったくアメリちゃんの事となると分別が付かなくなるんだから……」


ジュリがため息を吐きながそう言うと、アルジノンは少し笑った。


「それだけ好きという事だろう。俺にはわかるな、ルイスの気持ちが」


「そうでしょうね。あなたとあの子はホントよく似てるもの。無理やり側に置いて故郷へ帰らせないところとか、我儘に自分の想いを押し付けるところとか」


昔の自身の身に起きた事を思い出しているのだろう、ジュリは少し不貞腐れたようにそっぽを向いた。


それをアルジノンは腰を抱いて引き寄せ、自分の方へ向かせる。


「でも、お前はちゃんと絆されてくれたな。ジュリは本当に優しい俺だけの女神だ」


「ジノン様……」


あと数年で四十路に突入するというのに、

この二人は未だに結ばれたばかりの頃のように互いを想い合っていた。


既に3人の王子と2人の姫を儲けている。



「ストップ。も~子どもの前でイチャイチャするのやめてよね。私はともかく、ミシェルの教育によくないでしょう」


第一王女クラリス(16)が呆れながら言った。


彼女はルイスの次に生まれた子で、再来年にはハイラントの王太子の元へと嫁ぐ事が決まっている。


「あらやだ」「……すまん」


2人の世界に突入しかけていたジュリとアルジノンが気まずそうに苦笑した。


クラリスが話を続けた。


「お兄さまには困ったものだけど、アメリを連れて来てくれた事には感謝だわ、手紙だけでなく会いたいと思っていたもの」


年の近いアメリとクラリスは、幼い頃から仲の良い友人でもあった。


その言葉に第二王女ミシェル(10)も頷いた。


「アメリお姉ちゃまと遊べて嬉しいわ」


ミシェルは二卵性双生児で、第三王子であるリュックが双子の兄である。


アルジノンがお茶を一口飲んでジュリに尋ねた。


「向こうの親はどうなんだ?ローバン卿は一筋縄ではいかなさそうだぞ」


「でも母親であるアニスさんは、アメリちゃんさえいいのならそれで良いと考えているようよ。アメリちゃんの本当の気持ちを、アニスさんはわかっているのでしょうね」


「まぁ今はとにかく2人の気持ち次第だな。親の出番はその後だ」


「そうねぇ……」


何かを考え込むジュリに娘のクラリスが言った。


「それよりお母さま、明日はヴァンサン侯爵夫人と約束していたお茶会の日よ?どうするの?アメリと引き合わない方がいいんじゃない?」


娘のその言葉に、ジュリははっとして顔を上げる。


「忘れてた!もぅ……ややこしい時に限ってあの親子かぁ」


ヴァンサン侯爵夫人アリアとその娘ダリア(16)は何かと都合をつけてはしょっちゅう城にやって来る。


お目当てはルイスである。


ヴァンサン侯爵家は娘のダリアを王太子妃に据えたいと虎視眈々と狙っているのだ。


ちなみに夫人のアリアの旧姓はヴァレンシュタイン。

かつてはアルジノンの両脇を固めた双璧の一人、

あのウォールアリアである。


アルジノンのデビュタントではパートナーを勝ち取った肉食系だ。


アルジノンは逃したが、今度は息子のルイスを我が娘にと狙っているのだ。


「絶対に会わせない方がいいんじゃない?アメリが虐められちゃうわ」


クラリスが心配そうに言う。


ジュリはしばし思案した。



そして、

「いいえ、アメリに出席してもらうわ。丁度良いもの、双方の問題が一度に片付くかもしれない」と告げた。


「お母さまったらなんだか悪い顔をしているわよ?」


「あなたもこの顔が出来るようになったら一人前ね」


ジュリはいずれ他国へと手放さなければならない娘の頭を愛おしそうに撫でた。





◇◇◇◇◇




ルイスがアメリを拉致ってから三日目。


ヴァンサン侯爵夫人アリアと娘のダリアとのお茶会の日を迎えた。


アメリはジュリにお茶会に出席して欲しいと告げられ、困惑していた。


王家の皆とは幼い頃からの気安さがあり平気だが、侯爵夫人と共にお茶をするなどとてもじゃないが出来そうもない。


しかし王妃であるジュリのお願いなので断る事も憚られた。


「どうしよう……ドレスなんて持っていないし……」


と思っていたら、ドアノックの後に侍女が数名入ってきた。


その内の1人、今や侍女長となったタバサがアメリに告げた。


「アメリ様、お支度のお手伝いに参りました」


「タバサさん、あの、それは?」


タバサの後ろに控える侍女が持っている物に気付き、アメリが問う。


「こちらは王太子殿下からの贈り物でございます。今日のお茶会で是非着て欲しいと」


「ルイス様からの?」


「はい」


侍女はアメリが見易いようにドレスを広げた。


それは淡いブルーのティードレスだった。

その色合いはルイスの瞳の色を思い起こさせる。

なんというかまぁ、独占欲丸出しのティードレスであった。


「ルイス様がいつかアメリ様に贈ろうと前々からご用意されていたものにございます」


タバサのその言葉で、ドレスを真剣な顔で選ぶルイスの姿が頭に浮かぶ。


少し気恥ずかしかったが、ルイスの心遣いが嬉しくて有り難く着させて貰う事にした。


ヘアもメイクも仕上げて貰う。


「とてもお美しゅうございます。

今日の主役はアメリ様で間違いないでしょう」


「そんな、私なんて……」


「アメリ様」


タバサがアメリの言葉を敢えて遮って告げる。


「世の中にはアメリ様よりも立場が弱い者が五万とおります。ご自分を卑下するのは、その者達を卑下する事と同等とお考え下さい。それに……」


タバサはアメリの後毛をすっと直し、優しく微笑んだ。


「貴女が大好きなのはルイス殿下だけの専売特許ではございません。貴女の周りにいる皆が貴女の事が大好きなのです。どうかその皆の為にもご自分に自信を持って堂々となさって下さいまし」


里帰りをするジュリと共によくランバード領へ訪れていたタバサとも、アメリは当然幼い頃から親交があった。


いつも優しく、時には厳しく見守ってくれているタバサの言葉が、お茶会への不安と緊張を和らげてくれた。


そして極め付けの言葉を掛けられる。


「恐るものは何もございませんよ、アメリ様のバックにはこの国の王妃であるジュリ様がドドンと山のようにおられますからね」


壮大な山のようなジュリを想像して、アメリは思わず微笑む。


「その笑顔を忘れずに、お茶会を楽しまれて下さい」


「タバサさん、ありがとう……」


アメリはタバサの手を取って感謝の気持ちを伝えた。





◇◇◇◇◇



今回のお茶会にと用意された部屋に向かっていると、廊下の途中でジュリが待っていた。


「王妃さま」


アメリは急いでジュリの元へと行く。


「まぁ……綺麗だわアメリ。あのバカ息子にしてはなかなかのセンスね。アメリに似合うものをよくわかっているわ」


「お、畏れ入ります」


なんだか途端に全身をルイスに包まれているような感覚がして、アメリは赤面した。


「もうみんな揃っていると思うわ、行きましょう」


「私が王妃様とご一緒にですか?」


ジュリの声掛けにアメリは驚いた。


何故ならお茶会などの席では当然最も身分の高い者が最後に到着する。

その最高位の者と同じく入室するという事はなかり特別な意味を含むのだ。


アメリの躊躇いを感じたジュリが柔らかい微笑みを浮かべてジュリの手を取った。


「あなたの事は口煩いほどルイスに頼まれているのよ」


そう言ってジュリはお茶会が催される部屋へとアメリを伴い入って行く。


部屋に入ると既にテーブルには

第一王女クラリスと第二王女ミシェル、そしてヴァンサン侯爵家の母娘が着座していた。


ジュリの入室で皆が優雅に立ち上がる。


ヴァンサン侯爵夫人アリアがジュリに挨拶をする。


「本日はお目通りが叶い、誠に恐悦至極に存じます。王妃様におかれましてはご機嫌麗しく……」


堅苦しい挨拶を述べるアリアにジュリは言う。


「美味しいお茶と可愛らしいお菓子を前に堅苦しいのはやめましょう。みんなどうぞ座って」


「畏れ入ります」


ジュリが着座を勧め、皆がそれに従い椅子に座った。


「アメリはここよ」


と、ジュリが自分の隣に座るよう告げる。


「え……でも」


そこはジュリとクラリスの間で、本来ならアメリが着けるような席ではない。


「いいから、ホラ早く」


クラリスがアメリの手を取って席へと誘う。


アメリは少し戸惑いながら席に着いた。


それを表面上は笑顔を貼り付けてヴァンサン母娘が見つめている。


内心は王妃が既に王太子の婚約者のようにアメリを扱っている事に腑が煮えくり返っているのだろう。


王妃と共に最後に入室した事も然り、本来なら王太子妃クラスの者が座る席もまた然り……。


アメリも幼い頃から母や祖母に仕込まれた鉄壁のスマイルでやり過ごすが、このお茶会、既に不穏な風が吹き始めている。


ただでは済むわけはないと、

内心戦々恐々とするアメリであった。



















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― 新着の感想 ―
[一言] ちょ、ウォールアリア再襲来で飲んでたコーヒー吹いたんですがwww 時間差で攻めてくるの天才過ぎるwww
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