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恋愛初心者、恋をする  作者: 織田 智
恋愛初心者
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30話

 宴もたけなわ、そこそこ出来上がってきた人もちらほら出てきた頃、部屋で飲み直そうということになった。誰がそうしようと言ったかは分からないが、各々部署ごとに部屋を分かれて移動する。ほのかは必然的に幸也とは分かれ、由香里、三國、岡本チーフ、そして真木らと一緒の部屋で飲むことになった。


 ほどほどに酔っていたほのかに幸也が別れ際「ほのかは飲み過ぎんなよ」と口を酸っぱくして注意された。そう言った本人も案の定千鳥足であったが、何とか冷静を装っているようだ。





 続きの宴会は男性の部屋で行われることになった。まだ寝るには少し早い時間。チーフが昼間のうちにどこかから買ってきた酒を机に並べてグラスに注いだ。


「山崎さんって飯塚君と仲いいねぇ」


 三國が注がれたグラスのワインを飲みながらほのかに訊いた。


「大学時代からの友だちなんでとっても仲いいですよ。いつも仲良し4人組で遊んだりしていたぐらいなんで」


 そう返すと、三國はつまらなさそうに「なーんだ」とおちょくった。


「付き合ってるのかと思ったけど、違うんだ」

「ほのかってばまだ誰とも付き合ったことないみたいですよ」


 横から由香里も面白がって話しに混ざってきた。


「え、なになに。じゃぁ、どんな人がタイプなの?」


 ついには向かいに座っていたチーフまで話しに混ざってくる次第だ。


「うーんそうですねぇ……私のインドアな趣味のゲームとか読書とかを一緒に楽しめて、週末はほどほどにお酒に付き合ってくれて、出来ればジャズ音楽を一緒に楽しめる人なんかがいいです」


 言いながら思った。


 ―—あれ、それって……。


「へぇ。じゃあさ、今度僕たちと合コンしようよ」


 チーフが面白がってほのかに話しを持ちかける。半ば恋愛経験のないほのかをからかっているだけにも思えるが、それをひらりとかわす術も持ち合わせていない。


「合コンですか? うーん、どうかなぁ」


 どう断ろうかたじろいでいると、「それはハラスメントですよ」と三國の揶揄が入った。


「いやね、オクテもいいけど、タイミング逃したら残念だしさ。出会いの窓口広げたりとか、既出の彼氏候補にも焦りが必要かと思うんだけど、どうかなぁ」


 いいながらチーフは真木に話しを振った。わざと振ったのだろうか。

 だが当の本人は「そっすね」と返事はするが、大して興味がなさそうな彼の顔が伺える。それを見て何だか寂しい気分にさせられた。






 「どうしてキスしたんですか?」と浜辺で尋ねた時に、何と言って欲しかったんだろうかと考える。単純に興味本位で知りたかっただけだろうか。

 逆に「好きだ」とでも言われればどうしたかったんだろうか。

 そもそも自分はこの人の事を好きなのだろうか……。でなければ、なぜ平然と受け入れているのだろうか。


 考えれば考えるほど、頭がまたぐるぐるしてくるのだった。



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