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恋愛初心者、恋をする  作者: 織田 智
恋愛初心者
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16話

「できたー!!!!」


 翌週火曜にクライアントからデザインの最終確認にゴーサインが出た。週末も仕事の事を考えるとなかなか眠れなかったので、気が抜けてそれが一気に襲ってきた。

 別のミーティングから戻ってきた真木を捕まえて、最終確認をしてもらう。


 そして「よくやったな。お疲れさん」と言ってこれまでに無いほどの笑顔で微笑まれた。


「センパーイ。やりましたよー。感激です!」


 初めて白紙の状態からデザインを手掛けることになったプロジェクト。クライアントとのトラブルもあったけど、完了させることができたのは大きな喜びとこれからの自信に繋がった。


「そうだな、じゃぁ早く次の案件に取り掛かって。あっちも急ぎだけど、もう3日も過ぎちゃってるから」


 ほのかのスケジュールは真木の手によって次々と埋められ、1か月先まで2件のプロジェクトが入っている。


「え⁉ まだこのラッシュ続くんですか!?」

「一体いつからこれで終わりだと錯覚していた?」

「なん……ですと……!?」


 そこから徐々にほのかに任されるプロジェクトの数は増え、7月にはまだまだ粗削りではあるが、それなりの戦力としてみられるようになっていた。



 夏になり日が伸びて7時ごろまで明るくなったせいか、仕事が早く終わった日は直帰するのが惜しく感じられる。

 帰りにウィンドーショッピングをしながら帰ろうとしていたらスマホが鳴った。メッセージの名前を見ると、大学時代の友人、莉子からだった。


 アプリを開いてメッセージを見ると、『今日仕事帰りに飲みに行かない?』とのことだった。よくよく見ると、莉子からのメッセージだが、グループチャットで幸也や、仲の良かった春都にもそのメッセージが届いている。



「ほのか。莉子からのメッセージ見た?」


 隣の部署から幸也がやってきて声をかけた。


「見たよ。私もちょうど空いてるし、行くつもりだよ。幸也は?」

「俺も行くよ。一緒に行こうか……何時上がり?」


 時計を見ると16時10分になっている。


「16時までだったの。もう終わったよ」

「一緒だ。じゃぁ、どっかで17時まで時間潰そう」

「オッケー」


 さりげなく拳同士をバンプさせて、いかにも友人らしい合図をしてみせた。

 隣の席の真木は席を外していていなかったため、「お疲れ様です。良い週末を」と付箋に書置きを残して退勤した。


 駅までの道すがら幸也に真木との仕事は上手くいっているのかと聞かれる。


「うん。最初は本当に怖いって思ってたけど、今は一緒に仕事しててすっごく楽しいよ」

「良かったじゃん」

「幸也の先輩は?」

「すごくいい人だし、面倒見もいいけど、時々感情的に怒りを顕わにする時があるからなー。少し気を遣うかな」


 そう言われてみれば、真木は仕事に関しては厳しいが、仕事では感情的に何かに怒ったりすることはないなと思った。プライベートでは色々怒られてはいるが、それは別の問題としておく。


 駅に着くと、30分ほど時間を潰すために、おしゃれ代表コーヒーショップに入って1杯飲む。

 その間幸也はスマホを机の上に置いて、莉子たちから着信が無いか気にしていた。ふたりが他愛もない話をしていた時、彼のスクリーンに奈々子という名前が表示されたのをほのかは見逃さなかった。

 ぽちぽちと何にかを返信している幸也に話しかける。

「ねぇ、幸也って倉持さんと付き合ってるの?」

「うーん。まだ付き合ってはいないけど……気にはなってる」

「そっか」


 大学時代にほのかが告白したという過去があるため、この質問には若干答え辛そうにした。でもまさかまだほのかが彼のことをこんなに長い間好きでいたとは知りもしないだろう。

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