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冒険者です


 トジカとカイリと呼ばれた青年は、ノンに連れられギルド長室の前に来ていた。


「サシンさん、二人を連れてきました」


 ノンはノックをしながらそう言うと、返事が返ってくる前に扉を開け中に入った。ここがギルド長室であることが分かっていたカイリは少し緊張した様子で入ったが、ここが何の部屋なのか「サシン」とは誰なのかと、何も知らなかったトジカは特に態度を変えることなく入っていった。

 中にはイノズ・サシンがおり、趣味の石積みをしていた。


「あっ、いらしゃい。ちょっと待っててね。今いい所なんだ」


 そう言いながらサシンは十六個目の石を積もうとしていた。ただその動きは遅く、明らかに石を積むのに結構な時間がかかりそうだった。

 ノンは無言でサシンの机に行き、机を思いっきり叩いた。

 石はバラバラと崩れていき、石を積もうと机の上で中腰になっていたサシンだけが残った。


「あー、ちょっとなにすんの」

「なにすんのじゃないです。自分で呼び出しといて、待たせるのはマナー違反でしょ」

「いやそうだけど、石積み……」

「石積はいつでもできるでしょ! 終わってからやれ」


 ノンはそう言って部屋から出ていった。

 二人はというと、緊張で固まってしまい微動だにしないカイリとそれを面白そうにツンツンとつつくトジカといった感じだった。

 サシンは机から降り、バツの悪そうに頭を掻きながら、二人へ話し始めた。


「いや、ちょっとカッコ悪い所見せちゃったね。今のことは忘れておいて。……カイリ君は知ってると思うけど、トジカちゃんは知らないと思うから自己紹介。僕はここのギルド長をやっているイノズ・サシン。よろしくね」


「はっ、はい、よろしくお願いします」

「よろしくです」


「カイリ君、別に緊張しなくても大丈夫だよ。ほら僕、権力がそこそこあるだけで、威厳とかそういうのないから」

「はっ、はい」


 サシンは机の上から何かカードのようなものを取ると、トジカの方へそれを投げた。結構な速さがあたったが、トジカはそれを難なく受け止めた。


「じゃあ、まずトジカちゃんへの用事を済ませようか。まず君は無事冒険者になることができました、おめでとう」

「ありがとうございます」

「それで、それが冒険者であることを示す冒険者カード。それがないとクエスト受注や素材の換金とかができないから、無くさないようにね」

「わかりました」

「次にカイリ君、君への用事だが、これはトジカちゃんへのお願いも入っている」

「それって、ノンさんが言っていたことでしすか?」

「あれっ? もしかしてノンちゃん、なんか言っちゃってた?」

「えっと、僕とこの子とで一緒に冒険者をしてもらうって……」

「ああ、もう。彼女微妙に口が軽いんだから……。まあ、詳しくは聞いてないだろうからその説明をするね。まずカイリ君。君最近クエスト受注、特に戦闘がメインになるものを受けてないよね」

「はい……」

「それ自体は別にいいんだけどね、君はそこそこ強い固有魔法を持ってるよね。だから僕としては君には戦闘メインのものをどんどんやってもらって、強くなってもらいたいんだよ。わかるかな?」

「はい……」


 固有魔法。通常の魔法とは違い、産まれたときから使える魔法で、同じような効果を持つ通常のものと固有魔法とでは固有魔法の方が強力であり、また複雑な効果を持つ魔法が多かったりする。


「だけど急にたくさん戦え、て言われても無理でしょ。だからまずはトジカちゃんと一緒にクエスト受注してみたりして、彼女の戦闘を見ながらいろいろ学んでみてほしいんだ。……それでトジカちゃんへのお願いってのは、カイリ君と一緒に行動してほしいってことなんだけどいいかな?」

「私は別にいいですが、彼少し青ざめてるのです」


 トジカが言った通り、カイリの顔は青くなり、少し震えだしていた。


「よしっ、トジカちゃんが良いっていうならこの話は決定。カイリ君頑張って強くなってね」


 サシンはそれを見るも、何もなかったかのように話を進めだした。 

 カイリは顔を全力で振っていたが、悲しいことに何も意味がなかった。

 トジカはこれは仲間ができたということではということで、少しうれしそうな顔をしていた。


  *  *  *  *  *


 二人が出ていった部屋に少し時間をおいて、ノンが入ってきていた。


「サシンさん。カイリ君に監視のことは言ったのですか?」

「言ってないよ」

「伝えますか?」

「いや、伝えなくてもいいよ。トジカちゃんは悪い子ではないと思う。まあ、彼女には監視よりブレーキ役の方がいりそうだしね。彼は良いブレーキ役になると思うよ」

「そうですか。そう決めたなら何も言いません。……あれについてはどうしますか?」

「そうだな。Cランクから、いや問題行動が多かったし、いっそのこと追放にするか」

「分かりました。そう伝えておきます」


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