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帰るまでがクエストです②


 カイリは目の前の光景を夢か何かだと考えていた。そうでなければ、魔法を使わずにキメラホースをあっという間に倒してしまう、しかも冒険者になったばかりの子がだ。そんなの夢とかでなければあり得ない。

 だがそれが夢ではなく現実であることを他でもないカイリ自身が理解していた。


「ざっとこんなもんなのです」


 四匹のキメラホースを倒したトジカはそう言いながら、カイリの方を見た。


「カイリ、カイリ」

「なんだい?」

「せっかく服を洗ったばかりなんのですが、これの魔石取りをお願いしてもいいですか?」

「あ、ああ。いいよ。任せておいて」


 カイリはそういうと短剣でキメラホースの魔石を抜き取り始めた。


「やっぱりきれいにやるのです……」


 その様子をトジカはまるで子供が劇を見て喜んでいるかのように、目を輝かせながら見ていた。カイリはそれを少しむずがゆく感じながら、作業を続けた。

 

 作業を終え、死体を溶かすと、カイリは再び川でまたついてしまった血を流した。トジカの方は戦闘を石を投げるだけにしていたため、ゴブリンと戦ったときみたいに血を全身に浴びておらず、再び洗う必要はなかった。


「これはどうするのです?」


 トジカはそう言いながら、キメラホースの爪を持ち上げた。

 それはカイリが死体を溶かす前に、切り取っていたキメラホースの爪だった。また、カイリは爪のほかに尻尾とのど元にあった、何か変な形をした部位も切り取っていた。


「爪は武器の素材で、尻尾は装飾品。その毒袋は、中に入ってる毒がポーションとか薬の素材になるんだ」

「毒なのに薬になるのです」

「ああ。薬にはそういうのが結構あるしからね、そこらへんは不思議だよね」

「不思議なのです」

「だね。……よしできた。待たせてごめんね」

「全然大丈夫なのです。では帰るのです」


 そう言ってトジカとカイリは街へカイリ始めた。

 爪と尻尾はトジカが持ち、毒袋は中の毒が漏れ出ないように、穴を縛ってカイリが持った。


「今日のでいくらくらいなのです?」

「こんぐらいだと、ゴブリンクエスト受注したから報酬が少し高くなるけど、キメラホースは寺中舌やウじゃないからな……だいたい金貨二枚くらいかな」

「金貨二枚ですか」

「うん、五日くらいは生活できるくらいしかないね」

「微妙です」

「だね。……少し薬草でも取ってかえる?」

「そうするのです」


 トジカは冒険者は意外と稼ぎが大変なものだと感じながら、カイリと薬草をいくつか摘んでいき、街へ帰っていった。


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