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初クエストです②


「じゃあ、グリズさんを吹っ飛ばしたのも?」

「魔法は使ってないのです」

「今日のギルドでのあれは……」

「使ってないですね」

「さっきのゴブリンも……」

「はい、使ってないのです」


 カイリはトジカの言葉に驚愕していた。

 魔獣と戦う際、魔法を使わずに戦うということは自殺行為にも等しかった。

 魔獣は人間と比べ、身体能力が高いものが多い。また、魔獣の中には魔法を使うものもおり、そういったものと戦うならば魔法は必須である。

 だがトジカはその魔法を使ってないと言うのだ。

 しかも、あそこまでの戦闘能力をはっきしているにもかかわらず、魔法を使っていないというのもカイリが驚愕していた理由であった。


「トジカ……君は……」

「? どうしたんですか?」


 カイリはそれ以上言葉を続けることができなかった。


「いや、なんでもない」

「ん、そうですか。あっ、そういえばカイリ」


「なんだい?」

「このゴブリンの死体、このまま放置しても大丈夫ですか?」

「いや、ここに放置しちゃったら、血の匂いとかで他の魔獣が来ちゃったりするからしっかり処分するよ。あっ、だけどその前にゴブリンを倒したことの報告の証明をするために魔石を取っておかなきゃ」

「魔石ですか?」

「そう魔石。人で言うところの心臓でね。魔石は魔獣の種類によって違うから、証明に使われるんだ」

「そうなのですか」

「あとこれがもしなんか素材が取れたり、食べれたりする魔獣だったら、解体して持って帰るんだけどね。まあ、ゴブリンはそういうところはないから」

「わかったのです。じゃあ魔石を取るのです」

「ちょっと待って」

「どうしたんですか?」


 カイリは腰に刺してた短剣を抜きながら言った。


「魔石取りは僕がやるよ。戦闘は一切できないから、これぐらいはやらせて欲しい。ここからまっすぐ行ったところの側に川があるから、トジカはそこで血を洗い流してて」

「役割分担というやつですね。了解です。ではよろしくお願いするのです」


 そう言うとトジカは少し嬉しそうに駆けながら川のほうへ行った。

 残されたカイリはゴブリンから魔石を取り出す作業を始めた。

 ゴブリンの魔石は人間の心臓と同じ位置にあるため、取り出すのは全然難しくはない。もしこれがウィザードゴブリンだったりすると少し面倒くさくなる。

 ウィザードゴブリンとは魔法を使えるゴブリンが、その魔法を極めたもののことを言う。ウィザードゴブリンは魔石を複数持つのだが、その個数や位置はランダムである。そのうえ証明に使える魔石はいくつもあるうちの一つなのだ。これが面倒くさいと言わずなんと言うだろう。――閑話休題――


 カイリはゴブリンの胸へ短剣を突き刺し、引き裂いていく。そして引き裂いたところへ両手を入れて魔石を探す。少し手を動かして、すぐに見つけ、それを抜き取る。同様にもう一匹のゴブリンからも魔石を取り出す。


「これで完了」

「綺麗にやるのです」

「えっ!」


 いつの間にか戻ってきていたトジカにカイリは驚き、尻餅をついた。トジカはそれを見ておかしそうに笑った。


「何をしてるんです」

「いや、急に声かけるからでしょ……。戻ってきたなら声かけてくれてもよかったじゃん」

「驚かしたかったんです」


 トジカは笑いながらそう言った。

 

 始めカイリは、トジカのことを少し怖そうだと思っていたが、とても短い時間であったが、一緒に行動しているうちにそれは薄れ、気楽に話せるようになっていた。


「それでこれからどうする? もう少しゴブリンを倒す?」

「うーん、いやいいです。もう洗っちゃいましたし。カイリも血を落としたら帰りましょう」

「分かった。これの処分を終わらしておくから待ってて」


 カイリは持っていた死体溶けのポーションをゴブリンへかけた。

 死体溶けのポーションとは魔獣の死体にかけると、その名の通り死体が水みたいに溶かすことができるポーションだ。ただし、少し値段がする。


 死体が溶け終わったのを確認するとカイリは川へ行き、ついた血を流しにいった。

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