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異能の学徒  作者: こゆるぎ あたる
二章 九州本土決戦
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地下ということ


「地中だ……」

「は?」

「地中だ、あの小型、地中を進んできている!」


 僕は無線機を手に取り、すぐさま本部を呼び出す。


「こちら第二偵察班、本部!」


 無線機は少し遅れて応対を返す。


“こちら本部。どうした”


 今はこの時間の喪失すら惜しいというのに。

 

「今すぐ第一班の退避を!」

“この状況で何を言う。追加で小型害物が一体来るのみだろう。退避の有用性を示せ”

「地中です!小型害物は地中から侵攻してきているのです!」

“っ、了解”


 無線機の奥から息を飲む声が聞こえ、短い返答の後、通信がぶつと切れた。

 本部の者も、瞬間的に危機的状況を察したのだろう。


「地中と言ったか?小型の害物は地中に居るのか。そりゃ見えないはずだ」


 ハヤシは未だ、この危機的状況に理解が及んでいないようだ。


「あの小型は、海に近く、かつ川も近いこの土地の地中を、恐らく地層を削り取りながら進んでいるんだ」

「ああ、地面に潜っているんだろう?だからどうしたんだ。出て来たところを叩けばいいだけじゃないか」

「……この土地は海が程近いし、加えて川も多い。地中に流れる地下水脈だって多分にあるだろう。そんな所を、穴を掘って進んで来た害物が地表に飛び出して来たらどうなるか」


 ハッとした表情を見せ、ハヤシは叫ぶ。


「……まさか水か!?」


 僕は返事をせず、ただ頷いて返す。


 この九州鹿児島の地質は砂岩層が多く、地層的にも若いと聞く。

 戦闘場所から程近い場所には川が流れている。

 現在はせき止められ地表を流れる水は無いが、地下ならどうか。


 僕は地質学者でも科学者でもなんでもないが、地下の水脈を貫き、それを伴って地表に現れたらどうなるのかは想像に易い。


 “健磐龍命(たけいわたつのみこと)”の熱波攻撃が、九州鹿児島中心地も程近いこの地で行われるという事である。その損害は計り知れない。


 僕に戦闘能力が発現していなかったのを後悔したことは多分にあるが、今回もそれを痛感させられる。

 刻一刻と迫りくる小型の害物に、手出しも出来ず、ただただ僕は状況を無線で伝えるのみであった………


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