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誤った選択肢

「君が、俺?」


 正確には違うだろうが、同一人物ということになるんだろうか。

 本当に荒唐無稽過ぎる、まだ某国のスパイって方が信憑性があると思う。

 あ、弓美の話だと彼女の世界だと隣の半島には2カ国あるらしい。こっちではアメリカの同盟国があって、中国とずっと睨み合いをしてるんだよなぁ。

 まぁ、戦争するほどのメリットもないし、政治体制と経済は別ってことで、それなりにうまくやってるみたいだからこっちには特に影響ないけどね。


「正直、はいそうですか……とは言いづらいよ」

「うん、それはわかるわ。もし逆の立場だったら、私もそう思うし」


 肩を落とした様子で言う彼女に、俺が何を思ったかと言えば。


「でも、信じるよ」

「え?」

「荒唐無稽過ぎて、逆に信用できる、かな?」


 苦笑しつつ、驚いている彼女に冗談交じりに答える。


「もし俺に近づくのが目的なら、もっと常識的な理由をつけてで近づくだろ?」

「それは、まぁ……」

「だから、信じるよ。君の話」


 それでもどこか不安そうな彼女にちょっとだけ悪戯心と彼女の緊張と不安をほぐすために笑みを浮かべる。


「君みたいに可愛い女性なら、一目惚れですって突然言われても信じるけどね」


 一瞬、きょとんとした彼女だったが、すぐに赤くなった。

 あれ、思ったより初心なのか……笑い飛ばしてくれることを期待したんだが?

 それでも俺の意図に気づいたのか、ふっと表情を緩めた。


「でも、それが本当ならどうしようか?」


 俺が素直に弓美の結論を受け入れたことに、弓美は苦笑を浮かべつつ問いかけてきた。


「自分と同じ存在かもしれない人に言うのもなんだけど、素直に信じてくれるのね?」

「ああ、なんだろう、弓美はなぜか信用できるって思った。変かな?」


 俺のちょっと照れた笑顔とストレートな物言いに、弓美はさらに顔を赤くした。

 すごく恥ずかしがってるのがわかる。なんでここまで弓美が照れてるんだ?


「うわ、何これ、すごく可愛いし、格好いい。なんだかドキドキする」


 どうやら弓美のツボを突いてしまったのか、上目遣いでなんか恨みがましい涙目で、真っ赤になって悶えてる。

 うわ、なんだこの反応、すげぇ可愛い。

 しばらくもじもじしてから、俺がじっと見つめているのに気づいたのか小さく深呼吸、咳払いをひとつして、気合いを入れ直した。

 俺も仕切り直しとばかりに居住まいを正した。


「それで、これからどうする?」

「どうしよう。こんなの考えたこともないし」

「……戻れるのか?」


 俺の問いかけになんだか妙に暗い顔になり、あきらかに落ち込んだ様子を見せる。


「わかんないけど……戻りたくない」


 なんだろう、弓美の様子が極端すぎておかしい。何か酷く嫌なことでもあったのだろうか?

 そうと思っていたら、予想外に重い内容の返事が返ってきた。


「昨日の夜、私は自殺したの」

「じ、自殺?」


 何か事情があるのだろうか。

 俺は彼女の顔をじっと見つめることいかでなかった。


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