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オレとご主人サマと月の日

 だるい。もーやだ。今日は一歩も動きたくない。

 正直、性欲がリミットブレイクしてた時点で薄々分かっては居たのだが……。

 ご主人のベッドを汚した罪悪感から、今日はもう完全にやる気が途絶えた。

 もし異世界の転生した奴がいれば、オレの代わりにアレを開発してくれ!!


「ソーマ、大丈夫かい?」

「頼むほっといてくれ」


 まあ、あれだ。しょうがねえ。月の物だ。

 今月も無事に来たと言うことで、妊娠発狂エンドは避け得られたのだ!!

 だからといって、垂れ流して血の海に沈むの目茶苦茶めんどくさい。


「大丈夫そうにはみえないけど」

「そう思うくらいならまじでほっといてくれ」

「えー、心配だよー。顔真っ青だし」

「とりあえず初日過ぎればなんとかなるから、頼む今日はそっとしておいてくれ。毎月このやりとりやってんだろ、いい加減なれろよ」


 ベッドの脇に座るご主人に悪態を吐く。

 くそう、調子狂うなあ……。


「でもさあ、ソーマってそれ来ても落ち着いてるよねえ」

「常識だからな。そもそもお前等冒険者間の学の無さがひでえ。無理矢理随伴させられて下層に潜ったときも一人来てただろ」

「あーうん。基本僕らってその日暮らしだからね。そういうのには無頓着なんだよ。あの時は助かったよー。パニックになっちゃってさあ」

「お前等オロオロしすぎもいいところだ。つうか、マジでオレが初等魔法覚えてたから良かったな……」


 初めてご主人に無理矢理連れられて迷宮に潜ったときのことを思い出す。

 あどけない感じが残る女性の弓手が来てしまったのだ。それにパニックを起こして戦線が崩壊しかけた。流石にフレンドリーファイアの全てがご主人に行ってたから良かったけど、マジSランクの弓の速度尋常じゃねえ。

 話しが逸れた。

 まあ、女性冒険者二名のおっぱいと尻を追いかけてたからすぐさま気付いた訳なんだけど。

 まず頭を冷やして、服を洗ってやってそのまま岩場の影で休息だ。

 男飯しか作れないオレだけど、ない知恵振り絞って暖かいスープを作ってやって落ち着かせたっけ。

 最初の苛立った姿はちびったなあ……。修羅かと思った。奴隷風情が何をしてくれるんだって。あの時めげなかったオレマジすげえ。今じゃその子ともマブダチだ。恋人が良かったくそう……。オレの心のマイサンでよがらせてやるつもりだったのに!!


 まーそういうわけで、冒険者達は無頓着にも程がありすぎた。迷宮に潜ったら平気で二日三日風呂に入らないとか、オレだったら耐えられん。股間とか腋とか臭うだろうが! ブーツも蒸れるだろうが! 流石に臭いのは嫌だぞ!!


「僕はソーマがいるからいいけどねー。ソーマは綺麗好きだから」

「お前も、最初オレが風呂を作れと言うまで二日に一回体を拭くだけだったもんな……」

「ソーマには嫌われたくないからね!」

「ああ、そうかい」


 おざなりな対応をする。もう喋る気力が無くなってきた。解熱鎮痛剤くれ。バファ○ンくれ……。なんかそれっぽい薬草群生してたりしないの!


「うーん、今日は暇してるだろうから、スィエ呼んでくる? 仲良かったよね」


 スィエがマブダチになった弓手の女の子だ。

 でも今日は流石に呼んで欲しくないぜ、オレにもちっちゃなプライドってもんがある。弱ってる姿を見るのはご主人だけで良い。


「やめてくれー。醜態晒す気は無いぞー」

「そう? じゃあ僕は一体なにをすればー」

「オロオロせずにじっとしてるか日銭稼いでこい。そろそろノービスキラーの時期だろうが」

「えー、あれ、今度ソーマに倒して貰おうと思ったのにー」


 まじかよ。ご主人なんかオレに期待しすぎじゃね? オレ基本平和に暮らしたいんだが。戦いたくないんだが。もーただ、だらだらとできる環境を用意して養ってくれよー。


「とりあえずもういいから、そっとしておいてくれ」


 腹と頭が痛すぎてヤバイ。マジヤバイ。


「とりあえず、ご主人よ。今日は頼むから他の女買ってきて罵倒して貰ってくれ」

「いやあ、今日のソーマもキレッキレだから、僕は嬉しいよー」


 どこがだよ! 完全にへばってるだろ!?

 もういいから、ゆっくり寝かせてくれよー。

 ああもう、ご主人を邪険にして、さっさと寝るに限る!


「ソーマ?」


 無視無視。


「ちゅーしちゃうぞー」


 ふいっと、顔を背ける。

 今日は性的接触はのーせんきゅーです。


「そんなあ、無視とかぞくぞくしちゃうじゃんかー!」


 おう、まじで、ご主人のドM具合が末期。

 あー黙って、目瞑ってきたら本格的に眠くなってきた。


「ごしゅじん……」

「んー?」

「ちょっとねるから、なんか汁物つくってて。台所の鍋、適当に使っていいから」

「もうしょうが無いなあ」


 苦笑気味にそう言って、ご主人が立つ。

 部屋を出る前にオレの頭を優しく撫でていったのだけが無性に腹が立った!

 何に腹が立ったってそれで、ちょっと不安が解消されたオレ自身に対してだよ!


 うわあ、もう、くそう弱ってるときにちょっとでも優しくされたら、例えあんなご主人に対してもときめくとかマジで一生物の恥だっ!!

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