オレとご主人サマと報奨金
「あっ……んっ……!」
珍しく日が沈む前からしたいと申し出るご主人に、魔力切れの要介護状態から脱したオレは渋々了承した。
なんか、介護してたら催したらしい。死ねばいいと思う。
人が動けないことを良い事に散々好き放題触りちらして……! 奴隷商館に居た頃に仕込まれた性技のせいで、体弄られると我慢できなくなること知っててやりやがったな……。
んで、場も丁度良く盛り上がってきて一回目のラストスパートって時に、ガンガンとノッカーが打ち付けられる音がする。
おいふざけんなよ!!
「……出てくる」
「僕がいこうかー?」
「うるさい、来客の応対はオレの役目だろ。体拭いて着替えて待ってろ」
あーくそ、邪魔されたのがすげえイラつく!!
「ソーマも体拭いた方が……」
「ああん? 誰に物言ってんだ。オレは問題ねえ!」
手に水球を作り出して、頭から被る。んで、目の前で火と風の混合魔法を発動させて、体の水気を取って、いつものキャミとミニスカを穿いた。
「邪魔なら無視すれば良いのにー。律儀だなあ」
「うるせえ……。ああ、ここの水の掃除もよろしく」
「這いつくばって舐め取るよ!!」
「ナチュラルにきめえよ! お前まさか、オレが風呂に入った後のお湯飲んだりしてねえよな……?」
「えっ、してるけど」
してるのかよ……。まじかよ。コイツと暮らし始めて数ヶ月だけど、マジで初めて知ったぞ。
どん引きだわ……。今までいくらでも引く要素はあったけど、今日一だわ……。
あーくそ、あれかお預け食らったからイライラ募ってるのか。
「おう、ご主人、来客帰ったら続きな」
「なっ……!! ソーマから誘ってくれるなんて……!!」
それだけ言い残して、オレは来客の相手をするために玄関へ向かった。
「何の用?」
「ああ、ご在宅でしたか。ディルムッド様はいらっしゃいますか?」
「ご主人なら着替え中」
身なりから察するに憲兵みたいだけど、何、ご主人捕まるようなことやらかしたの?
まさかオレに内緒で露出徘徊したとか?
「では、奥方様、言伝をお願いできますか?」
「おい、オレはアイツの嫁じゃねえ」
「またまたご冗談を。あれだけ仲睦まじく市中を歩き回られておいでではありませんか」
まじかよ……オレたちの仲って、今そう言う風に見えてるのか……。
死にたい。
「私も急ぎのため、手短に申し上げますと、昼間の飛竜の報奨が出てますので、冒険者ギルドまお越しいただければと思います。どうやらあのはぐれ飛竜、重討伐指定だったようで懸賞金がかけられていたんですよ」
ほー。ご主人が瞬殺したのに、懸賞金かけられるレベルだったのか。
しかしなあ、下層レベルの重討伐指定って懸賞金安いんだよなあ。
それだったら上層のノービスキラーに指定されてる魔物狩った方が金になるし。
なんか今新人冒険者が足りてないみたいだし、ニュービーが安全に戦いの基礎を学ぶ為に上層に出る重討伐指定ほど懸賞金が高くなっているらしい。
「つっても、はした金だろ?」
「いえ、街中に出没しているので、住民への危害も考慮してこの度は百万だそうです。それに竜肉は市場に流してしまいましたが、取れた素材の類いの一切がディルムッド様の所有となるようです」
「まじかよ……。素材全部売り払ったら半年近くは遊んで暮らせるぞ」
「羨ましいです! では、私は警邏に戻ります」
「ああ、お疲れ。後、オレとご主人は夫婦じゃねえからな。そこだけちゃんと訂正しておけよ!」
「畏まりました。それでは良い夜をお楽しみ下さいませ」
おい、あの憲兵絶対オレ達がヤッてたの分かってただろ。
なんだあの最後の下卑た笑み。
上から下まだ自分の姿を見下ろす。
ああ、こりゃあバレても仕方ねえや。なまっちろい肌は上気したままだし、キャミの肩紐はずれてるし。太股には汗というか蜜というかそれが伝ってるし。
何よりニーハイ穿いてねーしな。普段着だけど、キャミにミニスカ、ニーハイの三種の神器だけは常に身につけてるからなあ、どれか一個でも欠けてたら何かやってたのはバレるか。
ついでにご主人が着替え中とも言っちまったしな。
「ただいま」
「どうだった?」
オレは服を脱ぎながら、ベッドに向かう。もうお預け食らってたのがキツイ!
「飛竜の報奨金の話だった」
「はした金かー……」
「聞いて驚け、百万だそうだ。ついでに素材も総取り」
「おー! いいねえ! 何買おうっか!」
「我儘言っていいか?」
折角着替えたご主人には悪いけど、ご主人に跨がって服を脱がせながらオレはお伺いを立てる。
ちょっと中等魔法の魔道書と前言ってた防御溶かす系の魔道書が欲しい。なんなら防御無視の付与ができるやつでもいい。
「魔道書かい?」
「おう、買ってくれー。中等魔法か、防御溶かす系の。初等魔法じゃお前に大したダメージ与えられないし……んあっ♡」
「いいよいいよー。珍しくソーマが積極的だし、買ってあげるよー!」
やった! これで、ご主人を嬲る幅が広がるぜ!