オレとご主人サマと隷属デート
市中引き回しの刑にあって、近くの喫茶店……? 酒のマークがついてるから多分夜はバーか何かなんだろうけど、今は喫茶店というか軽食屋的な感じのする店に居る。
なぜか、ご主人の膝の上にいる事が一番おかしい光景である。
ちなみに隷属の腕輪で縛られてるからオレは身動きが取れない。
「おい、ご主人さんよ」
「なあに、ソーマ?」
「隷属指令で縛るのはいいが、胸揉んだり、おっ立てたチンコをすりつけるのはやめようぜ?」
「あ、バレてた?」
「おう、バレねーわけないだろ?」
ちなみにひそひそ声で、やはり英雄色を好むかとか言われてる。
オレ自身美少女だしな、しょうがない。男共が色目を使ってるのはわかっているつもりだ。
あと黒髪効果だな。この周辺地域じゃ、茶髪や赤髪が多い。ご主人も綺麗な茶髪だ。西洋顔と合わさって、男のオレからみてもマジでイケメンだからなあ。クソうらやま。
「屋敷に帰ったらしよーね」
「マジかよ、連日かよ……。お前、ドMだからか絶倫だよな……昨日何回だしたか?」
「何回だっけ。ソーマが落ちてからも勝手にしてたからなあ」
「おい、今聞き捨てならねえ台詞が聞こえたぞ。通りでだるいわけだよ、畜生」
聞かなきゃ良かったぜ……。
まあいいや。
しかし、この抱っこしてぎゅうな感じどうにかならないか。
「お待たせしました、パンケーキ、季節のフルーツソースを添えてでございます」
注文はご主人が勝手にやった。オレそもそもそこまで腹減ってねえし。奴隷の身分は弁えてるから何かを強請るなんてことはできないし。
でも、これ美味そうだなあ。溶けたバターがとろーっとしてて、フルーツソースの鮮やかな色合いが……。ああやべ、唾が溜まってきた。
嗜好品って滅多に食べないからな。良くも悪くも作る料理は実用一辺倒の男料理だし。ご主人は美味いって言ってくれるからいいけどさ。
「ほらー、ソーマ、これ食べたがってたでしょ」
「いや、オレは……」
「えー、だって換金に行ったときもこの店見てたじゃん」
何でバレてますかね。甘い良い匂いだなあとは思ってたけど。
「ほら、ソーマ、【口開けて】」
くそう、隷属指令出されたら、従うしかないじゃないかー♪
「あーん」
片手でオレを支えたまま、器用にご主人はパンケーキを切り分けて、オレの口に運んでくれる。
ほかほかの一口大のパンケーキがオレの口に収まる。
もぐもぐ。
ほのかな甘みと、バターの味と、ベリー系っぽいフルーツソースが絡み合って美味いなあ。
ああ、久しぶりにこんな嗜好品食べたかも……。
「うーん、ソーマが幸せそうな顔してるから、僕も幸せだなー」
「ま、待て、オレはそんな顔してないぞ!?」
あ、まて、オレを写すな! クソッ! 店員までグルか! 手鏡とか持ってオレの顔を写すなよ! 一瞬写ったオレの顔は確かに幸せそうに蕩けてたじゃねえか! 失態だこんなの!
「ああもういいから、ご主人早くのこり食わせろ! じゃないと、鳩尾に一撃入れて顎に一撃いれて、逃げるからな!」
さっきギルドでランク測定したら一個上がってDランクまで上がってたし。ちょっとはダメージ入るようになったはずだぞ! 数値的には1とかそんなもんだろうけど。後、なんか早熟とマジックマスタリーってスキルがついてた。早熟はよーわからんが、マジックマスタリーはなんだかんだで魔法使ってるからなついててもおかしくないか。
しかし、オレ、ご主人の後ろでがたがた震えてちびってただけなんだけど……。いや、弱った魔物にトドメは何回か刺したけど。
マジこれ、養殖じゃん。ヒール要らない前衛がトレインしてきたのを削って弱ったのを倒して経験値ウマーって!
「ええ、ソーマ、試そう!? ランクあがったからもしかしたらダメージはいるかもだよ!! その小さなあんよに履かれたヒールのお靴で僕を踏んづけて!」
「まじか……。マジで玉潰して良いのか」
「いいよいいよ! どんとこーい! あ、でもちゃんとヒールしてね? ソーマとの子供欲しいから!」
「ふざけんな。まだ親になるきはねえ!!」
いや、毎度の如く結構な量注がれてるから、その内当たったらできちゃうんだろうけどさあ……。
流石に妊娠したら正気を保ってられる自信はねーぞ!
「えー。こんな可愛い子が母親になるとか想像するだけでそそる」
「ご主人、お前まじで、ドSなのかドMなのかキャラはっきりしてくれよ。つーか、ほら、手が止まってるぞ、次寄越せ、次!」
開き直ってテーブルをばんばんと叩いて次を催促する。
だって美味いんだもん仕方ないだろ!
「はいはい。まったく主人使いの荒い奴隷だなー」
くっそう、周りの奴らもなんか微笑ましい物を見る感じでオレ等の事見てるし!
見せもんじゃねーぞ!!