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オレとご主人サマと魔法講義

 夕飯ができた! 割とありきたりなメニューである。

 丸パンにサラダ、それと野菜クズで作ったスープ。メインはなんと言っても、この前の飛竜の肉を燻製にした奴のステーキだ! 牛肉に近いけど、脂身が少なくて美味いんだよな!!

 とりあえず、スィエの分は媚薬をたっぷりと仕込んでおいた、げへへ……! これで今夜はついにスィエとねんごろに……!


「飯ができたぞー。オススメは、肉とサラダをパンに挟んで、齧り付くスタイルだ! ほれ、ご主人のは量多め、スィエはこっち」


 ご主人は巨漢ではあるものの、そこまで大食漢というわけでは無い。一般の成人男性程度に食べるくらいだ。

 オレはまあ、この体になって食べる量は減った。腹持ちが良いというかなんというかだな。

 スィエの食う量はよく分からなかった、並程度にしておいたけど……。


「ソーマ? これ、あれかしら、私に太れって言ってるの?」

「おっぱいが育つからいいんじゃね?」


 おおう、ごめんって、青筋ぴきってるし。

 いやまて、ちょっとまて。あれ、これ墓穴掘ってんじゃね。


「というわけで、ソーマのお皿と交換。お肉くらいなら食べられるでしょ? 私あんまり肉食じゃ無いの」

「お、おおう……い、いいけど」


 ご主人がその様をニヤニヤしながら見ている。あいつめ、何が起こってるのか分かっていやがるな!?

 くそう……、泣く泣く媚薬たっぷりすり込んだステーキ皿とオレの皿を取り替える。

 やばい、凄く食べたくなくなってきた。けど、食わないと腹減るし……。マジヤバイ。墓穴掘った上に醜態晒す危機である。


「それじゃあ、いただきまーす!」

「いただきます……」


 やべえ。まじやべえ汗が垂れて来やがった。おう、この媚薬、女に効果覿面な奴なんだよ。

 獣の発情期並になるやつだ。なんで持ってる買って? いつかスィエに使えないかと思って、買い出しに出かけたときに買っておいたのだ……。マジ一瓶使ったから、ヤバイ。


「ソーマ、食べないの?」

「お、おう、食べるぞ!?」


 美味そうに食っていやがる。肉のスパイスは手塗りだからなあ、味にムラはあっても、美味いはずだ。そもそも飛竜の燻製自体が美味い。結構楽しみにしてたんだが……。まじかー……。


「そういえば、昼間に言ってた魔法の事だけど、基本自分の魔力で魔法を使うのに必要なのは励起させるところだけよ? だから、みんな詠唱してるんだけど」


 はい、この危機的状況下の中でスィエ様の魔法講座が始まりました。

 やばい。そろそろ一口でも手をつけないと怪しまれる。ご主人は多分助けてくれない。


「そうなんだ? 僕魔法使わないからよく分からなかったんだよね。やっぱりソーマの魔法って変だったんだ」

「無詠唱でも、ちゃんと励起にしか魔力を使ってない人も居るには居るけどね」


 ほう……。

 いるのか、ちゃんとした無詠唱使い。あれ、そういやカードの後天素質の所に無詠唱の項目が無かったな。ああ、ちゃんとできていないから素質欄に現れてなかったのか。

 あむっ、もぐもぐ……。うめえなあ……飛竜肉……! あっ!!


「やべえ……」

「どうしたの?」

「い、いや、何でも無い! 何でも無いから気にするな! 話を続けてくれ!!」


 これの効果が現れるまで大体三十分から一時間だ。一度自分に試したときに現れたのが四十五分くらいだったはず。その時は一晩一人で慰めた。いや、マジで一瓶使ったからマジヤバイ。


 スィエが魔法の使い方を説明してくれている。

 基本自分の魔力で行うのは励起のみで、それ以外に必要な、対象を取る行為、威力を決める行為は詠唱や魔法陣によって補完される。

 無詠唱魔道士がやってるのは基本的に後者であり、一から十まで自分の魔力で行うオレは異端なのだそうだ。


 という話が終わるまでに大体三十分。ヤバイ、頭がふわふわしてきた。

 うぅ……ちょっとやばい、急に人恋しくなってきた……。


「ごしゅじん……」


 あああ、オレは何をやってるんだ!! なけなしの理性が状況を冷静に判断してるのに、本能と体が言うことを効かねえ……!

 なんで、オレはご主人に抱きついてますかね! 何でスィエじゃないんだ!


「あれ、ソーマどうしたの?」

「らいじょうぶだよ、スィエ。にへへ……」

「あら、珍しい。だらしなく笑ってる」


 これは媚薬のせいなの! そうなの仕方ないの!

 ああ、ご主人暖かいなあ……。うー……。


「ごしゅじん、ちゅーしてぇ」

「んー、それはスィエが帰ってからね」

「えー、やーだー」


 ごしゅじん格好いいなあ。いいなあ……。


「あらま、媚薬盛るのホントにやっちゃったの……。警戒してないわけじゃ無かったんだけど、ソーマってアホよねえ。宣言しなければ、それ私が食べてたのに」

「正直な所がソーマの可愛いところだよ。折角来てくれたのに大したもてなしができなくてごめんね、スィエ」


 可愛いって、そんな。うへへ……。


「気にしないで、可愛いソーマが見れたから良し! やっぱり私なんかよりご主人様のあなたが第一みたいだし?」

「あははー」

「それじゃあ、私戻るね。ご飯美味しかったってソーマに言っといて」

「はーい。夜道には気をつけてね」


 あれ、なんか、急に静かになった?

 スィエどこー?


「ソーマ、大丈夫?」

「うー……ごしゅじん、ちゅーは?」

「するからするから、急かさないで」


 翌朝、昨夜の記憶が全くないオレが発見された。

 真面目にスィエの魔法講義を聴いてたのは覚えてる、そこで媚薬漬けの飛竜肉を口にしたのまでは覚えてる。そっから先の事が全くもって思い出せねぇ!?


「おい、ご主人! オレは昨日何をした!?」

「昨日はソーマ、可愛かったよー!」

「マジで一体何をしたあああああああ!!」

「もぉ、朝から元気だなあ……」


 マジで、オレは一体何をしてしまったんだ。ただあれだ、夜の行為が激しかったのだけは確かなのだろう。もう日が昇りきってるし、体中アレでカピカピだし……。おう、まじか……。

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