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オレとご主人サマとスィエ

 ガンガンガン。

 大掃除をしていると不意にノッカーが慣らされた。このちょっと荒っぽいやり方は……。


「ソーマいるー?」


 んで、オレを名指ししてくるのはあまり多くは無い。大体この屋敷に常駐してるのがオレだって知ってる人の方が少ないからだ、ご主人を訪ねるなら冒険者ギルドや迷宮の入り口に向かった方が早いからだ。

 大方スィエだろうなあと思いつつ、オレははいはいと物置から抜け出て玄関を開ける。


「やほー」

「屋敷に来るなんて珍しい!」

「ほら、クリスが珍しくギルドに来ないから呼びに来たの」


 ああ、本命はご主人かー。


「スィエ、オレと付き合ってくれたらご主人を差しだそう!」

「まだ言ってるの? 私、女の子と付き合う気ないよー」

「ぢぐじょー……また振られたあああああ!!」


 スィエは美人より可愛い系の女の子だ。

 あどけない顔立ちをしていて、癖の無い金髪のストレートヘアに碧い眼。身長も今のオレとそう変わらないぐらい。はっきり言って可愛い。抱きたい。今はなきマイサンが絶対反応するレベルの女の子だ。

 弓手にしてはでかいおっぱいも魅力である。


「ソーマ、どうしたのー?」

「スィエがまたオレを振ったんだよおおおおおお!!」


 三角巾に割烹着とか言う一昔前のおばちゃんスタイルなご主人が、困ったような顔をしている。

 時折遊びに来るスィエに告っては玉砕してを続ける事もう両の手で数えられないほどだ。

 正直諦めてない。オレだって一度で良いから女の子とねんごろになりたい。

 娼婦は嫌だ! 初めては好きな人とが良いんだよ!! スィエは二次元から飛び出してきた理想の女の子に近いんだよ!! ねんごろになりてーだろー!

 くそう……マイサンがあれば絶対に落とせたはずなのに……。


「あれ、その格好、クリスは今日もソーマに扱き使われてるの?」

「そうなんだよー。大掃除しろってさー」

「この屋敷広いもんねー」

「そー。だから今日は無理だよー」

「そうみたいね。いい加減ハウスキーパー雇ったら? 名誉貴族様なんだし」

「みんながみんなして僕を推挙した結果じゃないかー! 僕だって貴族なんて地位いらないんだよ?」


 あー。ご主人、押しつけられたのか。なんて言うか鈍くさいなあ。

 というかあれか、押しつけられた事にM心を惹かれたんだな……。絶対そうだ。


「プークスクス。私たちを死地に連れて行った罰よー。何がドラゴンのブレスを受けてみたいよー。何が魔神の一撃を受けてみたいよー。連れて行かれる私たちの身になれって言うのよ!」


 納得。あの逸話は逸話でしか無くて、蓋を開ければご主人のドM心が惹かれただけだったんだな……。それで伝説になったのか。


「でもでも、聞いて、スィエ。ドラゴンのブレスも魔神の一撃も僕の求めてた物じゃ無かったんだよ! 正直下層でパニクったスィエの弓もあんまり……」

「アレは忘れろ! あ、でもそのお陰でソーマと仲良くなれたし良かったのけど」


 ねっとオレにスィエが話を振ってくる。

 スィエはオレが奴隷としての立場を弁えて、ご主人が話をしているときに割り込まないことを知っている。だから、話をして欲しいときはこうやって話を振ってくるのだ。


「そうだなー。スィエは可愛いからオレと夜のお友達になって欲しい!」

「またそう言うことを!」

「だってー。オレ、スィエの事好きだもん愛してるもん」

「それ、クリスの前でいって……ああ、良い事なのね。凄い、クリスあんた寝取られ属性まで持ってるのね怖い。というか気持ち悪い」


 うん、マジで気持ち悪い。NTR属性とか開花させたらいかん類いだろ。

 まじその恍惚とした顔やめて、気持ち悪いから。

 オレはスィエに同意の首肯を大きくしておく。


「うむむ……、他の人達にクリスを連れてくるっていっちゃったけど、屋敷の掃除なら仕方ないなあ。ソーマだけ遊びに連れ出しても良い?」

「えー、僕はー!?」

「あなたは掃除をするの。好きでしょ、扱き使われるの」

「好きだけどさー!!」


 いや、ちょっと困る。ご主人こう見えて、不器用だから掃除も簡単な埃取りしかさせてない。仕上げはオレの役目だ。


「えっと、スィエも手伝って?」


 オレは堪らず申し出た。この調子だったら明日もまた大掃除の続きになってしまう! スィエは風の魔法を使うのも上手だから、埃取りくらいならすぐに済みそうだし! オレの魔法の使い方と何かが違うんだよなあ!!


「いいけど、私もソーマみたいに器用じゃ無いよ?」

「風の魔法で埃飛ばしてくれるだけでも!」

「ソーマだって魔法は使えるじゃない」

「いや……オレ、すぐ魔力切れ起こすから、魔法使った掃除はあまり向いてないんだ」

「そうなの? まあ、魔力切れは大変だから仕方ないね。魔力香も馬鹿にならない値段だし」


 そうなのだ。ご主人がオレの為に常備している濃縮魔力香は結構なお値段する。エリ○サー的な扱いだから仕方ないんだけど、アレを常時焚くとか気が知れない。

 だから、魔法は使いすぎない程度がいいのだ!


 労働力も一人手に入ったし、これでやっと今日中に掃除が終わる目処が立ったな!!

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