表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
74/141

【03-14】

 絵文字も顔文字もないクールな彼女らしい文面で、「手応えは上々よ。見事なもんでしょ?」と、これまた彼女らしい自信に満ちたコメントだ。

 

 表情を緩めながら、素直に賞賛メールを返信した。

 

「何かあったんですか?」

「理紗さんからだよ。上手く書けてるでしょって」

 

 尋ねる舞に新聞の一面を指しながら答える。

 

 すうっと舞の目が細められた。

 どことなく殺気めいた表情になる。

 

 いきなりの変化に颯一は疑問符を浮かべるしかない。

 

「なに? 瑞穂さん、どうかしたの?」

「いえ、別に。なんでも。そうですか。足柄さんからですか」

「うん。理紗さんから。今日の新聞についてなんだけど……」

「足柄さんから、ですね?」

 

 意図の見えない確認に、当惑しつつも颯一が頷く。

 

「もう一度聞きます。誰からのメールですか?」

「だから、理紗さん……」

 

 鋭さを増した視線に続きを飲み込んだ。

 どう反応すべきか解らず、ちらりとリンに助けを求める。

 

「舞よ。どうしたのだ。颯一が当惑しておるではないか」

 

 やれやれという顔でリンが割って入った。

 

「言いたいことがあったら、ハッキリ言えばいいであろ」

「私のことは苗字で呼ぶのに、どうしてあの子は下の名前で呼ぶのよ!」

 

 などと言えるわけがない。

 ぎりりと奥歯を噛み締めながら、くるりと背中を向けた。

 乱暴にどすんと座る。

 

 残される形になった颯一とリン。

 

「僕、何か失礼なこと言っちゃったのかな」

「気にするな。おんなごには機嫌の悪い日もあるのじゃ」

 

 互いに顔を近づけ、こそこそ意見を交換する。

 

 卓越した『鬼斬り』である舞に、その声が聞こえぬはずがない。

 一層苛々が募る。

 

「おっはよ」

 

 底抜けに明るい声が飛び込んできた。

 陽菜だった。

 

「どうしたの、舞。怖い顔してるけど」

「別に、なんでもありません」

 

 素っ気無く答えると、ぷいっと窓の外に顔を逸らした。

 

「あんま不機嫌な顔してると、ホントにぶっちゃいくになるよ」

 

 親友らしい距離感で嗜めながら、颯一達に目を移す。

 そこで、机の上に置かれた校内新聞に気付いた。

 

「相変わらず、下らない記事書いてるよね」

 

 苦笑しながら、ひょいと摘み上げる。

 そのまま極自然な動作で、まっぷたつに破った。

 颯一があっと声を上げる暇に、もう半分。

 

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ