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【02-27】

「なるほど。それで最初に繋がるわけじゃな」

「ちょっと待って。じゃあ『死の九番』はどうなるの? 三年毎に起こるはずなのに」

「それは僕らが勝手に決めたルールだよね」

 

 颯一の指摘に舞は驚きを露にした。

 『死の九番』にまつわる怪死事件は三年毎に起こる。

 確かにそれは今までの状況から導き出された物に過ぎない。

 

「僕はこう考えているんだ。『死の九番』にとって三年というのは、重要な意味を持たないんじゃないかって。不測の事態が起これば変えればいいくらいの」

 

 三年毎に起こる怪死。

 それは数少ない手掛かりだった。いや、手掛かりと言うには、余りに頼りない物だが、犯人に行き着く情報だと信じていた。

 それが何の意味も持たないとしたら。

 

 あまりの無力感に襲われ、舞が力なくうな垂れる。

 

「僕らに黒マントを倒させた上で事件を延期する。つまり三年というルールを逆手にとることで、僕らの追跡をかわす。『死の九番』はなかなか狡猾な相手だよ」

「どうしてそんなに冷静に言えるの? 『死の九番』を逃がしたら、また誰かが殺されるのよ」

 

 感情的に反論した舞だが、ただの八つ当たりだと気付いた。

 慌てて「ごめんなさい」と頭を下げる。

 

「ううん。瑞穂さんの言う通りだよ。これ以上の犠牲は絶対に出させない。なんとしても『死の九番』を倒さないといけない」

「何か策があるようじゃな」

 

 リンが最後のひと欠片を口に押し込んだ。

 闘争心に満ちた鋭い目になってはいるが、口の周りにべったりとついたソースが脱力感を誘う。

 

「策ってほどじゃないんだけどね。リン、顔をこっちに向けて」

 

 言いながら紙ナプキンでリンの口元を拭った。

 

「『死の九番』のルールを、僕らが使わせてもらえばいい」

 

 意味が解らず、リンと舞が思わず顔を見合わせた。

 

 そんなふたりの反応に、ちょっと自慢気に颯一が続ける。

 

「僕らの手で『死の九番』を演出するんだ。ハートのカードを誰かに届けて、『死の九番』事件が始まったように見せかける」

「ほう。なかなか面白い手じゃな」

 

 嬉々とするリン。だが舞は顔を曇らせる。

 

「そうなったら『死の九番』が動かざるを得ない。でも、誰にカードを届けるつもりなの。カードの持ち主が『死の九番』に殺される可能性もあるのよ」

「理由を説明して協力してくれる人を……」

「どう説明するの? 化け物をおびき寄せる餌になってくれ、なんて言うつもり?」

 

 正論だった。

 颯一は反論できず黙り込んでしまう。

 

「私は誰かを危険に晒すような作戦は取りたくない」

 


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