【02-22】
「来週には壊れた机を入れ替えて、授業再開になるみたいだけど」
舞が意識を取り戻した時には、全てが終了。
黒マントはリンに倒された後だった。
誰かが来る前に急いで下校したが、教室の破損は修復されず、夕方の見回りで発覚。
夜にはクラス委員の舞に連絡があり、二日間の休校が告げられた。
器物損壊を含む悪質な行為として、警察に届け出たらしい。
昨夜は舞がクラスメイトへの連絡に追われた事と、黒マントから受けたダメージ。
加えて颯一の消耗もあり、一旦は休んで今、この時間に電話で情報共有となった。
「あ、うん。大丈夫だから。あの、その、心配してくれてありがと」
報告がひと段落すると、颯一は舞を気遣ってくれた。
肉体的には超人の域にある鬼斬りの自分を、普通の女の子みたいに扱ってくれるなんて。
つい嬉しくなってしまう。
「え? 今日は特に予定ないけど。うん。じゃあ、お昼くらいに」
昼頃に会う事を決めて通話を切った。
もちろん、今後の動きを協議するためだ。それは十分に解っているが。
さっと立ち上がると、チェストを開けて中を確認する。
「いきなりこんなことになるなんて。どんな服を着ていけばいいの。まだ好みとか解らないのに。もう、どうしよう。どうすればいいのよ」
※ ※ ※
舞のマンションの最寄駅から中央に向けて九つ。学校と寮からは二つ目。
文之瀬駅周辺は、あか抜けた印象が強い。
近隣最大規模のショッピングモールがあり、放課後や休日には若者達が集まってくる。
ショッピングモールの一階。
飲食店が集まるエリアの片隅で、舞は壁に背中を預けながらスマートフォンで時間を確認した。
十三時四十分。
待ち合わせまで二十分。




