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アレンジ特訓 9回目 4

 2人とも魚や魚卵などを使って一味違った料理(こういう料理の仕方はどうかという発想の)で今日も成長し合おうと技量を発揮しあった。これから相手の料理を味見しようねという流れになる。

 真奈先輩が作った献立を整然と並べている方に座った私はまず『ししゃもの南蛮漬け』に手をつけた。


「先程うかがって一口ばかり味見をさせてもらいはしましたが、こうやって味わいながら食べると違いが楽しめて良いですね。それにキャベツとウインナーの醤油ベースのスープは好相性でした」

 続けて方法として教わったとはいえ、まだ料理の作り方として認知の足りないししゃもの上手い焼き方についても改めて言及する。

「ししゃもは見た目がくずれやすいのを許容する風潮が否定できませんよね!? でも見た目が美しい方がと個人的には思いますけど」

「私としては魚の身をくずしたくないって主婦の方などの意見を結構目にするから作ってみたの。盛りつけやすさも上がるわ」

 料理の美味しさはもとより、盛り付けを良く見せるために一手間加える技術を先輩から学んだ私は感心する。


「私の方は結果的に秋の魚類だけでメインを作った事になるね。有音ちゃんの献立は今が旬な魚と野菜をふんだんに使っているみたいで。じゃあいただくわ」

いくら丼に焼きかぼちゃのサラダ、ありあわせ野菜で作った鶏ガラ系スープを先輩に美味しそうに食べてもらっている。それだけで私は満足である。

「うん。このプチプチした食感が舌で踊っているのが良い。野菜スープでリセット、また食感を楽しめる。このループ素敵ね。なめらかなかぼちゃがとろけて至福の味わいね。言い過ぎかな?」


 私は先輩が「勝敗を決めるとしたら」を言う前に先手を打つ。

「もしも私の献立が勝利に値すると思って頂ける場合は? 今日はその評価いりません。もちろんこの味が良かったからなどの言葉は言われて嬉しかったですよ」

 どうやら自分の作った献立よりすぐれていたのにって動揺しているみたい。私は先輩のうろたえをなくそうと考えて、なかなか思いつきそうになかった発想に重きをおきたいからだって伝えた。

「先輩の料理は彩りが良くて、盛り付けも目を引く感じなんですよ。味も申し分ありませんし。しみこみ具合で味が変わるおかずなんて食事を口に入れる所から食後まで食べ進めたくなるじゃないですか。何度も言いますが、私的にはししゃもの身をくずさずに食べる技術を高く評価したいんです」


 まだ納得のいっていなさそうな先輩の様子。でも私だって考えを変える気はない。食に対する知識欲を高めてくれる料理、それは料理の作りたい気持ちを上げる気持ちになり得る。

私だけの審査基準かもしれないけど味とか独創性以前に『この料理を食べてみたら、料理を作りたくなった』というきっかけになるのが重要だと熱弁したのであった。

「思わず試したくなる料理技術、一番はそれだと思っていますから」

「それも一つの考え方ね。確かに料理への興味を料理技術または知識できっかけとしてもらえるかもしれないわ」

 私の料理をしてくれる人が増えたらいいなという考えを理解してもらえたみたいで良かった。



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