アレンジ特訓 9回目 2
「待ってください。それは私じゃないと思いますけど? 証拠を出しますね」
鞄からテストを出して平均点85点位のものを見せる。私が平均点を知っている理由は先輩自身から聞いたからだよ念のため。それを見た先生が?マークを出しているかのような表情をしていた。
「えっと、板野さんじゃなかったのかしら」
あの先生は天然な所があるから間違いに気づいていない可能性が高そう。真奈先輩どうやら教えてあげるみたい。
「う~ん。教えるのに苦労している板垣さんに言いたかった話じゃないでしょうか? 板垣さんって覚える気があればって感じなんですけどやる気を見せている印象が薄いですよね」
あっ、先生理解出来たみたい。軽く謝って去っていったわ。
「間違えて悪い事をしちゃったね。それじゃ補習監督しなきゃだからバイバイ」
まったくあの先生はあんな感じだけど「料理の腕は確かなのよね」と嘆息して見送っている先輩の隙をついて入室する事を決めた私は食材を選んでいるフリで今来たばかりを装う。
「いつの間にか有音ちゃん、来ていたのね。今日は何かやってみたい事ある?」
「は……はい。ええっとですね、秋の味覚でアレンジ料理……なんてどうでしょうか……」
「良い提案だと思うわ。それはそうと歯切れ悪いわね何かあった?」
す……鋭い。じゃなくて私が隠し事をするのが下手なだけかな。う~ん、もう正直に言っちゃおう。
「本当は話をしている最中だったので入室タイミングをつかみかねていました。聞いちゃいけない話もある!? とか心配になっちゃって」
「そうだったの。問題ないわよ、聞こえた話っていうのはこの学校名物先生にテストについて勘違いされた件でしょうから」
もっと前からする気はなかった盗み聞き状態だったんだけど、そこまで言う必要はないわよね。話題変更話題変更。
「アレンジ料理にどの食材を使いましょう。個人的には旬の野菜とかで作りたいところです」
よし、真奈先輩の意識は今日使おうかなと考える食材に移ったみたい。1つは私から提案してみよう。かぼちゃの乱切りを使用してアイデイア料理を作ってみたいって。
「かぼちゃとか玉ねぎ。後は魚介系辺りとかでも良いかな~と思いました」
私のアレンジ料理に使用する予定の食材は採用されたっぽい。真奈先輩から魚介の候補を聞かれる。
「そうねぇ。今くらいの時期はいくらとかししゃもなんかが一番美味しいって感じかも」
私は先輩に言われた食材を使ってアレンジ料理を考えてみます、思いつかなかったらカツオとかマグロ辺りで作りますねと伝えて料理に取り掛かろうと準備を着々と進めている。
料理を作るのは自分のタイミングで良いんだけど真奈先輩に声をかけられた。何だろ?
「有音ちゃん、かぼちゃを子どもとか非力な人が切りやすくするためにはどうしたらいいか教えてもらえる?」
「私は切れ味の良い包丁で力を入れてストンッとやっていたりしますから」
「それだと力の入れ具合によってはまな板の寿命問題に発展するわ。簡単便利な方法あったわよね」




