有音の親友に出来ること 17
「な……キミたち!! 考えたまえ!! 次から次へと入って来すぎだろう!! 何故……」
僕もここまで気にしてもらえるとは思っていなかった。だけど、と全員分作れるくらいの材料は用意しておいて良かったと思う。香りの力はかなりのものだと実感。
「"香り"が人を惹きつけたんでしょう!」
「香り、匂い!?」
僕はある食材からヒントを得た事を語る。
「焼きたてピザってどこを切ってもいろんな具を食べられる……"具の香り"が食欲をそそったりしますよね!!」
言われてその要素を忘れていたという様子の新田シェフに僕は料理について話し続けた。
「あ……!!」
「このシーフードカレーパスタはいわば"集合"の料理なんです!」
「集合の料理!?」
僕は谷川さんに聞かれた感じを受けて、この例えならわかりやすいかな? という話し方をする。
「お友達の誕生会などで食べる料理とかって美味しいよね。ポテトやメインの揚げ物だけでなく、ピザを切り分けて渡す……親しくしている人達の楽しそうな表情がピザの味を引き立てているということ!」
僕は谷川さん達だけでなく、新田シェフに気づいてもらえたはずわかってもらえたはずの『シーフードカレーパスタ』の魅力を改めて教えた。
「このシーフードカレーパスタも同じですよ!! 鈴歌ちゃんにとって<一番>の調味料は食べている人の笑顔なんです!」
新田シェフがそれに気付けていなかったなんてという気持ちを表情に出してしまっていた。谷川さんがこの料理のお陰で起きた嬉しい出来事を口に出して感謝している。
「このパスタ、持ってきてもらえるまでに食欲をそそる香りが強くて……食べたら美味しさが口中に広がって……」
これが一番大事だという点を強調した。
「近所の人がいっぱい来てくれたから明るい雰囲気になって……。みんなで一緒に賑やかな食事が出来て……こんなにさみしくなくて"楽しい食事、かなり久しぶり"だった!!」
谷川さんが食事を出来た嬉しさ、多くの人と食事を共にした事で心からの笑顔を浮かべていた。有音は親友がやっと苦しみから開放されたんだとうっすら涙を浮かべている。
「鈴歌……!!」




