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有音の親友に出来ること 16

~~奏サイド~~

 食べれなくなった理由を説明に来た奏。

「それは……」

 谷川さんが事情を話したくなったのか、これまでの状況を語り始めた。僕の説明だと予想でしかないので助かった部分もある。


「パパとママが離婚してから……食事時しょくじどきは……ママと二人きりになって……」

 その影響もあったのかという様子の谷川さんの母親。軽くショックを受けている。

「……!!」


「それから私が有力候補選手になったらシェフさんと栄養士さんの作った専用メニューを私一人で食べるようになって……」

 谷川さんの母親は、良かれと思ってやった事が裏目に出ていたという事実にぐうの音も出せずにいた。


「でも……体に良い影響があって成績につながろうと、どんだけ豪華なメニューでも……一人で食べる料理は『美味しくなかった』よ……私は……昔みたいに『家族』で……おじいちゃんおばあちゃん、お父さんもいて……『みんなで』……」

 この語りは自然に本音を声に出してしまったもののようである。谷川さんは伝えたい気持ちを声で表現できたからか涙が流している。

「そうか……私、『みんなで賑やかな食卓で食べたかったんだ』わかったよ」

 どれだけ期待してしまっていたんだろうかと谷川さんの母親は食事メニューまで別々にしてしまったのは失敗だったと後悔している様子だ。明日からはせめて二人で食べるようにしようと決めた。

「鈴歌……」


「それがどうして……このカレースパイスにこだわったパスタで……!?」

 彼女の気持ちを引き出せたのは何故だといぶかっている新田シェフの目に映ったのは――?


 !? 何人もの人がニオイにつられてフラフラと敷地内の外側で美味しそうだとのぞいている姿、一部の子どもや若者なんかは門を登って敷地内に入り出していて。気持ちがわからないでもない鈴歌の母親が使用人に無言で門の開放を命じる。

「すごい良い匂いだから配達を忘れてのぞきに来ちゃった」というここら辺をたまたま通りかかっただけのはずな中華料理屋の配達人を皮切りにぞろぞろ入って来た。「何の匂いだ!?」

「うまそーな香り!! シーフード!?」「食べた~い」「あんまり美味しそうな香りだったからつい入らせてもらっちゃったわよ!」おじさんおばさんお兄さんお姉さんなど様々な年代の人々が谷川さんの食べているパスタの香りに誘われるかのように。どの台詞を誰が言っているのかは好きに想像して欲しい。



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