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有音の親友に出来ること 13

     ◇         ◇        ◇

 僕は谷川さんに今度こそはという料理を出したけど、役に立てなかったかとぼやく。

「結局、力になってあげられなかったか……」

 そんな僕を有音が励ましてくれた。

「力にはなれたはず。鈴歌も言っていた通り、陸上は来年でも……約1年後に応援しよっ」

 僕はそう聞いて俄然やる気が出てきた。

「よし! それなら今度こそ谷川さんに美味しいパスタを作れるようになるぞ!!」

 その時も手伝うつもりだから声をかけてねとばかりに有音が返事をする。

「うん!」

 そのタイミングで2人のお腹が鳴った。

「有音~」

「奏じゃないの!?」

 僕達は同時に鳴るなんてすごいねと笑いあった。そういえば何か手持ち無沙汰の様なと気づいた僕、谷川さんの家に忘れ物をしたんだと取りに行く。

「あ……エプロン持ってき忘れてるや」

 

 どうするの? という表情をした有音。

「取ってこなきゃ!!」

 僕のうっかりミスに有音は嫌な顔一つせず、谷川さんの家の玄関前で待っているからと言ってくれた。

忘れ物を取りに来たと家にいる人《谷川さん》に声をかけてから、僕は台所に置きっぱなしにしていたエプロンを回収した。忘れ物を取りに来た旨を伝えた時は小さな声で返事をしてくれた気がするのだが。それはそうと、忘れ物回収して「ありがとう。失礼しました」と僕は声をかけなきゃと思っていると、谷川さんが何やら言っている声が耳に入った。


「エプロンはもう大丈夫。え?」

 その声が悔しい無念といった気持ちがこもった涙声だったので僕は驚く。

「今がピークなの。これ以上の調子の良さは望めないくらい。今、走れないとダメなのに……」

「ええっ!?」

「この大会に生活の大半を賭けてきたのに……こんな事になるなんてっ!? うああああ~!」

 僕は吹っ切れた意味に今更気づく。僕達に心配をかけたくなかったから……!? 気付けなかったどころか真に受けてホッとしてしまったのが悔しかった。


 その悔しさからか全身で何かを感じ取る。"ピザ"……? 僕は浮かんだ食べ物から何かが閃いた。

「奏、遅……!? え!? また奏ったら」

「感じた……感じたよ!」

 僕は有音が呼びに来たのが目に入った。彼女に対して改めて感じた事を口に出す。

「感じたよ。"料理の希望"を!!」



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