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有音の親友に出来ること 8

僕は谷川さんの言った言葉"味がしない"とはどういう事かわからずにいた。

「そ……それはほら……きっとすぐ……そう、早く治るはずよ……そしたらまた……また……鈴歌は……」

 僕には有音が谷川さんに伝えたい事がわかる。つまりは谷川さんが陸上をオリンピックに出るつもりなくらい大好きで、それだけの努力をしている姿を見てきたと伝え聞いていたから。


「もう……私、今度の大会は無理……」

谷川さん自身が一番言いたくなかった発言だろうけど、僕も有音もそんな諦めの言葉を聞きたくなかった。

「谷川さん……!?」

「そんな!? この大会……鈴歌の夢の集大成を発揮するものなはずでしょ……そんなの言って欲しくなかった!!」

 こんな理由で親友の夢が……なのにこれ以上の事をしてあげられそうにないという悔し涙を流している有音の姿に僕は宣言した。

「僕も作るのを全面協力するよ!」

「え……!?」

「鈴歌ちゃんが喜んで食べたくなる料理を有音、一緒に作ろう!!」

「かな……奏?」



 スポーツ新聞が掲載するくらいの実力を持っている谷川鈴歌さん。そんな記事にされては学校中の話題になってしまう。

「新聞読んだ? 読んだ! 俺、持ってきてる。絶望的なスランプだって!?」とか、「谷川さんって陸上部の美少女!?」と確認している生徒、「谷川さんって……」と噂している女子生徒など。どこのクラスもざわめいている。もちろん奏達のクラウの大半もこの話題で持ちっきりだ。

 

 職員室でも担当教師だけでなく、全員やはり気にしていた。中心は男性教師達。

久富ひさとみ先生~、あなた谷川の担任でしょう」

「まぁ、そうですが……私にはどうにも……」

「顧問の田崎先生は何をしてるんだ」


 有音の知り合いの陸上部の部員によると、部室でもその話題が話されていたとか。

「ひどくない、あの新聞」 「食事出来てないんでしょ」 「センパイ、私達の手本だっていうのに!!」


 このような意見。新聞の書き方に対する(勝手に選手生命を終わらせているような)文句とか、同じ部員間ならではの食事が出来ていないみたいという心配が多かったそうである。


 本人がいない間にこれだけの騒ぎになってしまっている事実。有音が心配そうにしていた。

「鈴歌……」

 手助けしたい気持ちが強くなった僕。有音の後押しをするため改めて宣言する。

「鈴歌ちゃんが喜んで食べたくなる料理を有音、一緒に作ろう!!」



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