初めてのアレンジ特訓 2回目
私が行き着いた考えを真奈先輩がどこか嬉しげに目を細めて良いと褒めてくれた。
「それじゃあ、奏君の勇姿が気になるのもわかるけど、アレンジ料理を作りはじめましょう」
真奈先輩が私をからかっているんだろうな~という事は予想できていた。でも今の私は奏の事を考えるとモヤモヤした気持ちを感じてしまうので言い返さずにはいられない。
「なっ……何を言うんですか! 気にせず料理を作り始めようかな、うん。そうしよう」
もう春だけど寒いくらいの気温のはずなのに、私の体は熱を帯びてしまっている。そうした症状に悩まされてきているがごまかして数秒口をパクパクさせる。それはなかった事にしたいので自分のすべき事をしようと行動を開始した。
「まだ言ってなかったわね。今日は野菜炒めをアレンジするのを提案するわ」
「はい、何かを考えて行動に移しますね」
私は家庭科室の、教室の机の上に置いてある野菜類を1つ1つ手に取って作るものを考えていた。肉は使わないつもりだけど加工肉は選択肢に入れようかなと思う。結果として、タマネギとウインナーだけの料理を思いつく。
「タマネギは上下にあるへた部分を切って水にさらしておかなきゃ」
目に沁みないように私はタマネギをスライスする前、ボウルに入れた水の中に沈めておいた。何となく真奈先輩の方を向くと、お湯を沸騰させて白菜・キャベツ・人参などをナベの中に投入していた。あれ? 今の所は一般的な野菜炒めと同じ材料を使っているような。先輩の作っている姿で見て学ぶ姿勢は大切だと思うけど自分の料理に戻らなきゃ。
「先におなべの中に鶏がらスープ小さじ1と水50mlを入れておこうかな」
これは癖になりつつあるけど、私は次にやる料理工程を声に出しながら手を動かしている事がある。それはそうと、やっぱりタマネギをスライスしている最中に目が沁みてきちゃうんだよなあ~、目が痛いよう。気持ち、沁みが抑えられている事実はあるけど。タマネギをナベの中に投入。蒸すような形で炒まってきたのでウインナーを4等分しておナベの中に入れた。
「弱火がいいかな? でも火を止めた方が安心かも。いいや、弱火のままおナベの材料に味付けしちゃお」
味付けはこれがいいかなと思った有音、ケチャップ大さじ2くらいのおナベに投入して良く混ぜた。そして良い匂いがただよってきたので火を止める。