アレンジ特訓6回目 3 初めて4人で
その間に、真奈先輩がチーズを一口大に切っていたよ。どう使うんだろうね。
「これに市販のお茶漬けの素! それで握れば一品完成」
お茶漬けの素には刻み海苔が使われていて、おにぎりに合いそうって考えは浮かんだけど1口大にちぎった固形チーズをご飯と混ぜた事でパクっといきたい感じに。チーズと海苔の風味が良さそうで口の中によだれがたまってきている気がするんだけど。そんな中、風良先輩の方から良い匂いが来たから私はつばを飲み込んだ。おにぎりを作っているはずなのに何とか焼きみたいな匂い!? と私は驚いた。
フライ返しで手際良くご飯をひっくり返しているけど火が強い=強火って訳じゃなさそうだからおこげを作っているわけではないのかな? 溶き卵とキャベツがあるからおにぎりじゃなくて何とか焼き!? って思うわけだね。
「ここまで見ていたようだから作るものの想像は出来たかもしれない。後は仕上げをするくらいかな」
風良先輩のこの大胆だけど無駄の少ない動きの技術を盗みたいなと思っていたんだけど、真奈先輩から手招きされたからそっちに戻ることにした。
「もう1つは可愛らしい感じのおにぎりを作ってみるの。この見た目にするまでに慣れが必要だったわ」
真奈先輩がそこまで言うなんて! 料理の得意な人でも新たな工夫をしたくなるんだろうね。
「ご飯の味と彩りに変化を持たすためにこれを使うのよ」
先輩が手に取ったのは数種類の永◯園の『彩るご飯』なる商品だった。それをふりかけたご飯は見た目からして美味しそうって感じになってた。
「これの創意工夫していた時、しばらくはかまぼことハムの消費量が多めだったわ~、ちょうど良い長さにするまでに苦労が」
真奈先輩が話通り、かまぼことハムを慎重に厚めに切り、リボン状の長さにカットしてそれをご飯に巻いていった作業まで見届ける。手先の器用さがあれば難しいとはいえないかもしれないけど、どちらかといえば私が作るとしたら大変だろうな~。そんな私の考えを見透かされたかのように先輩からじっくり時間をかければ誰でも出来るわよって笑顔でアドバイスされちゃった。
確かに作り続ければ慣れて楽になるっていう作業多いから納得。そうそう、ハムとかかまぼこの長さはどれくらいがいいでしょう? と質問してみたんだけどそれに関しては習うより慣れよって言われちゃった。作ってみたい人は自分で巻ける長さを見つけてって事らしいよ。私も頑張るね。
「ゆっくり作って愛情を込めたつもりよ。キュートに仕上がった」
「わ~っ、可愛い。食べるのがもったいないくらいです」
という事は一応私達4人全員が2種類ずつのおにぎりを作ったわけだ。それなら出来たてを食べましょうと私がみんなの意見を確認してみる。
「早速食べませんか? 美味しそうですし」
「そうね、真奈ちゃん。風良君と奏君も異論ないわよね?」
先輩2人に聞かれて男の2人が頷いたのがわかったから後は味見の上で率直な感想を伝え合うだけだなと思った。
「そういえば奏の2つ目のおにぎりはちゃんと見てなかったね。香ばしい匂いがしてるじゃん?」
奏の作ったもう1つのおにぎりは味の強めな調味料を使っているっぽいな。私がそれを奏に聞こうと思ったんだけど風良先輩に先手を打たれちゃった。
「そうだな、ソースというか正確に言うならオイスターソースとマヨネーズを塗った味。正解かい?」
「風良君、私もそう思うわ。もしかしたら中濃ソースを塗ったのかなとも思ったんだけど」
味については先輩達に先を越されちゃったからと私は私で疑問に思った事を奏に問いかけた。
「おにぎりって焼くとあまりぺたぺたと手にくっつかないよね。調味料を塗る量にもよるのかな?」
「そうかもしれないよ。食べた後に手を洗う負担を減らしたい人は箸で食べるのを推奨するけどね。食前食後には手を洗う方が良いとは思うけど」
たまたま奏の作ったおにぎりの匂いにつられて食べたっていうのはあるけど、ついでだから先に作ったおにぎりの批評を聞きたいみたいな顔をされちゃった。私達の近くにちゃっかり『天かすおにぎり』を置いてるし。
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これからも頑張ります!




