アレンジ特訓 5回目 1
私がこの料理研究部に入部してから2ヶ月近く経過しているのか、早いなー。この部活も大切にしてはいるけど今の時期は学年のイベントも多くてそっちも気になる。こういうイベントの時にこそ奏の力を級友達に見せられるかも。更なる評価を感じさせる魅了の技術を奏は見せる気があるんだろうかどうなんだろうな。
「近隣の専門学校との対抗スポーツ大会、これはこれで気になるけど海外研修の方が気になるよね、奏!」
やっぱり多くの同級生とかの私達くらいの年代のみんな、男女間の距離って気にしちゃうよね。前も言ったかもしれないけど私と奏は姉弟のような関係なつもりだから。私が姉って所はゆずらないよ。
「そうだね、有音。海外研修は3週間。中国、イタリア、フランスとどこかの国の料理を選択しろって話だったけど」
「奏はどこの国に行くか決めた? 私は多分……」
「決めたし隠す必要もない、僕がどこに行くか伝えようか。一緒の国じゃなくても頑張ってきてな」
奏の言葉から感じる雰囲気がまるで年下の女の子に対する心配かのようだったので言い返した。
「こっちのセリフ! とちったらかっこ悪いよ」
調料学園のイベント、どうしても料理の知識を深めたり腕を磨いたりを意識しちゃうのは仕方がないよね。スポーツ大会の意味は運動をする機会の減りがちな専門職を目指しているからと学校案内に。しかも他料理専門学校との対抗にして競争心を煽っているから手が抜けないし。
「ちょっと別の話にするけどしばらくイベント続きで大変そうだよね」
「またしばらく次の部活動から参加できないのも残念だよ。大変さは楽しむことで乗り越えちゃおう」
特に好きな事になると奏は前向きになるんだから! 私も気力が高まってくるよ。
「お互いに先輩の技術を盗んだりとかしちゃおっ。また迎えに行っちゃうかもよ」
奏が家庭科準備室に入っていくのを見送って、私も隣の家庭科室に歩を進めていく。私がドアを開けようとしたタイミングで、たまたま真奈先輩が廊下に出ようとしている時が重なった。2人して少し驚く。
「ごっ……ごめんね有音ちゃん。今ちょっと理事長に呼ばれちゃって。机の上にある野菜をちぎったりしておいてくれる。アレンジを考えていてくれるのも良いわね」
机の上に夏野菜のレタスが置いてあった。先輩に言われた通りにレタスの葉の外側だけを別にしてザルを用いて洗っておく。あっ、外側の葉は捨てずに後で洗ったんだよ念のため。




