アレンジ特訓 16回目 7
「さて、ツナの蒸し煮を失礼するか」
お皿によそった風良先輩が食卓のイスに座って白菜とツナを箸でつかむ。
「少しばかりのピリっと具合が食を進めるね。ツナとしんなりした白菜 そのものの味も良い」
お次は真奈先輩が『蒸し鶏きゅうり』を食べるらしい。
「酢しょう油のすっぱさとしょっぱさにごまとごま油の風味が鶏むね肉ときゅうりのあっさりさとからむ。他の鶏肉<ささみ、手羽先など>と合わないとは言わないけど、一番は
このおかずの部位にぴったりなむね肉のあっさりさね」
この料理で感じて欲しい事を口にしてもらってる! だけど今回のテーマに沿っているだろうかと確認してみる。
「家に材料があるなら問題ないんじゃないかしら。冷蔵庫で2日または数日程度持つかどうかって料理な気もするけど」
数日持たすのは厳しそうって評価みたい。私の家はきゅうりを常備しているけど一般家庭は夏場以外、気が向いた時だけ購入の野菜な気もするな。
最後にみんなで味見したのが『白菜の煮びたし』主に奏が感想を口にした。
「和風だしと油揚げから出る旨みが具の味を高めているんだろうね。有音が風良先輩から学んだ通り、しいたけを入れたい所」
買いに行けない状況、家の中にある余り物だけで済ませられればとかあるだろう。今回提案したレシピは和え物または煮物が大半。日持ちを考えると仕方ない側面があるのかもしれ
ないね。
「奏、皆さん今日はお疲れ様。作ってもらった品は長持ちに軸を置いた感じだね。だが震災食(吹雪対策)と考えると工程が少ない方が良いとだけ伝えておこうか」
誰とは言わない奏の祖父。調理の手間、体が温まるかどうか、保存しやすいか等と要点を見直せば何かがわかりそうだ。
「わかりました! 正解だと思えばそれを体に染み込ませる位に頑張ります。一応4人で正解の方向性を必要に応じて修正しつつ」
先輩2人の見送り
奏と有音は実家にもう少しいるそうだ。先輩方(部長達)は学生アパートに帰るというので駅までご一緒した。
「奏くんのおじいさんに料理の提案をもらった時は緊張したわ。でも、新年から良い経験出来たかも」
「うん。ああいうプロ級の方に料理のアドバイスをしてもらえるのは一部の授業だけだものな。インターンでもこういう緊張するんだろうね」
調料学園料理研究部の4人は改札前で少し話してから別れるのであった。