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猫語翻訳機を貸してもらった

作者: ねこがえる

これは、私の初めての短編です。

笑えるような話には一応したつもりです。

この小説を読んで「面白い!」と思ってくれたら嬉しいです。

“ネットで面白い物買った!

私の家来て!”


特にやることもない休日、あたしの携帯に、そんなメールが送られてきた。

(暇だし。ま、いっか)

という事で、メールの送り主、親友の家へ向かう。



「……は?」

親友が何を買ったか聞いたあたしの反応は、これだ。

「だから、これ猫語翻訳機」

親友は、ネットで買ったという物をあたしに見せながら言った。

「……は?」

あまりな事に、脳がフリーズする。

思わず、同じ台詞を言ってしまう。

「だから、これ猫語翻訳機」

親友も繰り返す。

「……ちょ、ちょっと待って。それ、現実的に考えておかしいでしょ」

「おかしくないよ。本当だもん」

「いや、おかしいって」

「じゃ、試しに着けてみてよ。そしたら分かるから」

「やだ」

「何で」

「こんな怪しい物を着けようとする奴自体おかしいって」

「じゃ、おかしくなって」

「やだ」

「何で」

「まず要求自体がおかしいと思う」

「じゃ、これ着けて」

「やだ」

「何で」

「だって、これだよ? これ」

「うん。これだよ」

親友が差し出してくる物を見やる。

「いや、だってこれ見るからに怪しいよ」

その猫語翻訳機とやらは、イヤホンみたいな形をしていた。

それに、なんかゴッツイ。模様は、黒と赤のまだら。

なんかすごく不気味だ。センスの無さにも程がある。

(いや、これはナイでしょ。これは)

黒と赤という不気味な色に、怪しいデザイン。ただでさえ、猫語翻訳機ってのは現実的に考えて怪しいのに。

それを耳に着けろと親友は言うのだ。

「じゃ、じゃんけんしよう」

「何で」

「負けたら先にこれ着ける。いいね?」

「え。ちょ、ちょっと待」

「うん。そっか。いいか。じゃ」

「待って! 人の話聞こ」

「いっくよー!」

「待ってってば! ちょ」

「だっさなぁーきゃまぁーけよぉー」

「ちょっと!」

「じぁーんけぇーんポン!」

親友を止めようと、あたしの手は開いていた。

親友は、チョキを出した。

「やったぁー! 勝ったぁー!」




数分後。

あたしは猫語翻訳機とやらを着けさせられた。

「じゃ、私がミミと話すからね。聞いててね」

親友が飼い猫のミミを撫でながら言った。

「……はい」

げんなりした顔であたしが答える。

親友がミミに話しかける。


「ミミ、お腹減った?」

これは、左耳から。

「ミャアー」

これも、左耳から。

『うるせえなぁ。黙れ。耳障りなんだよ』

これは、猫語翻訳機を着けた右耳から。


「……え?」

呆然とする。

(なんか、今ものすごいものを聞いてしまったような……)


「そっかぁ。減ったかぁ」

「ミャア。ミアー」

これらは、左耳から。

『うるせえっつってんだよ。このクソババアが』

これは、右耳から。


「え」

(なっなんでこんな可愛い雌の子猫が、こんな反抗期の男子みたいな事言ってんの!?)


「ちょっと待っててね。ご飯持ってくるから」

「ミャアーー」

『飯? なんだよ。だったらさっさと言えよ。早く持って来いやオラァ』


「えぇっ」

(これ、おかしい。なんかおかしい)

「ちょ、ちょっと待って。何これ」

猫語翻訳機を外し、親友に言う。

「面白いでしょ?」

親友は心底楽しそうに笑う。

「いや、なんかこれおかしいって」

「おかしくないよ」

「おかしいよ。なんか不良みたいな事言ってたよ?」

「うん。だから面白いでしょ?」

「いや、なんか違うなんか違う。言ってる内容もおかしかった」

「おかしくないよ」

「おかしいよ」

「だってそれ、猫の鳴き声から、感情を読み取って反対の意味になるように反抗期の男子みたいに喋るやつだもん」

「おかしいよそれ。反対の意味にしなくていいし。反抗期の男子みたいに喋んなくていいから」

「その方が面白いじゃん」

「はぁ!?」

「あ、そうだ。ネットで買ったっての嘘だからね」

「え。それじゃ何処で買ったの?」

親友がウフフと笑った。

不気味だ。それに、怪しい。

「秘密」

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