ルビコナロード(短編版)
(▭-▭)φ:現在執筆中(書き溜め中)の『ルビコナロード』を短編&宣伝用にしたものでございます。
■ 第零話「クラス転移?!出席確認!⋯⋯遅刻者1名」
周りを見渡すと木々が生い茂る、森が見えた。
木々に阻まれ遠くを見ることは叶わず、足元には根が生え巡り歩くのには注意が必要だろう。
空気は澄んでいて湿っぽくも涼しい。
嵐の前の静けさのように無音で、梢が交錯して日差しを視認できない。それらが余計に不安を煽る。
そんなところに、一人の男が立ち尽くしている。
歳はまだ10代半ばといったところか。
黒髪で、眼鏡、マスクをしていてThe.オタクという感じだが隙間から覗ける顔は童顔で整っている。
身長は年齢の割には高く、体型は細長で足が長い。
「ここは、どこだ?」
その男の名は「神無月龍凱」と言う。
龍凱は辺りを見回し、口元に手を当ててブツブツと疑問を吐く。
それも当然だ。龍凱はつい先程まで危険の「き」の字も無い安全な教室の中にいたのだから。
「竜星達と話していて⋯⋯気づいたらここか」
記憶を遡って現状を把握しようとするが、理解が追いつかない。
常識の範疇に収まらない事が起きている。
「時間は⋯⋯、経ってないな」
ポケットにあるハンカチの濡れ具合で時間経過を確認した。
当然、オタク知識からだ。
「うん、まじでどういうことだ?」
龍凱は頭を抱えて困惑している。
それこそ異世界転移などの妄想が現実に起きてるという事を受け入れる必要があるからだ。
いや、手っ取り早く確認する方法があるか!と手を叩いて思いついた。
真面目で静かな男子生徒を偽っているつもりだが、龍凱は生粋のオタクなのだ。
「ステータスッ!」
「ステータスッオープンッ!」
「ステータスオープンッ!」
期待は地に落ち、膝も地についた。
「むぅ、黒歴史が増えるな⋯⋯。ひとまず武装するか」
そう呟いて龍凱はベルトにいつも付けている財布のチェーンを取り外して、制服の手首の部分にあるボタンを外し、その穴にチェーンを取りつける。
そして胸ポケットからハサミを取り出してもう片方のチェーンを持ち手に嵌める。
これで間合いを変化させられる簡易的な武器〈鎖鋏〉の完成だ。
これは龍凱が家で一人で装備練習した成果だ。
名前はネーミングセンスの無い、龍凱が捻り出したやつである。
「さて、どうするか」
上を見上げて木を登ることを思案する。
その時――、ガサッと茂みが揺れる。
「!」
龍凱はすぐに視線を音のした方向に向かわせ、⋯⋯〈鎖鋏〉を逆手に取り構える。
緊迫した瞬間――、そこから出てきたのはシリアスな空気を読むことを知らない男「神無月竜星」である。
「お、龍凱!」
張り詰めた空気は一瞬で霧散し、龍凱は〈鎖鋏〉を手から離して、警戒を解く。
「声量下げろ」
腕を組んでため息を吐く。
「いや龍凱の声に誘き寄せられてきたんだぞ?」
何を言ってんだ?と、でも言いたげな様子で竜星が龍凱の新鮮な黒歴史を収穫。
当然、龍凱は素直に認めるわけもなく――、
「⋯⋯⋯⋯⋯⋯何のことだ?」
と、下を向いて数秒間の沈黙の後に竜星から目を逸らしてとぼける。
「さっきからステー、「うるさい」
口を押さえて黙らせて、無言(?)の圧で黙らせる。
そんなところを緑色の皮膚をした醜悪な魔物たちが眺めていた。
◇ ◇ ◇
龍凱達から少し離れた所の森に転移した男子学生がいる。
その者の名は「矢本 朱」と言う。
「ここはどこだ?」
外見は身長が180程度あり、体格は平均的だ。
龍凱と同じで、マスクをしている。
やはり朱も突然のことに困惑しているようだ。
あたりを見回して状況を確認しようとしている。
「ステータスオープン」
当然、開かない。
「⋯⋯何やってんだ、俺」
と自らの行いを振り返り、頭を抱えたが――、
「ステータスッ」
「ステータスッオープンッ」
「ステータスオープンッ」
微かに声が聞こえてきた。
「(龍凱⋯⋯、あいつがいるのか。とりあえず合流を目指そう)」
腕を組んで龍凱との合流を目指すべく歩き出した。
――途中いつもの騒ぎ声が聞こえてきたことは割愛しよう。
◇ ◇ ◇
周りに見えるのは石壁。
照明はついておらず、それにもかかわらず薄暗く周りを見渡せる。
足元を見ると魔法陣が描かれている。
『は?』
「え?ここはどこ、ですか?」
「は?え?ナニコレ。早く帰してくんない?SNSに晒すよ?」
こんな状況に関わらず寝ている者。
いきなりの情報量に戸惑う者。
カメラ越しに見ることで現実をドラマなどの延長線上で捉えようとする者。
1人を除く4名に共通することは戸惑っていることだ。
「おお!貴方様たちは勇者様ですか!?どうかこの国を――」
◇ ◇ ◇
「ここは、どこ?!どういう状況!?」
この者の名は「霜月詩織」だ。
困惑するのは無理もない。
教室に居たはずなのに気づいたら祭壇のような場所に立っていて、更には、知らない大人たちが跪いて一心不乱にこちら側を向いて祈っている状況だったからだ。
「詩織、落ち着いて」
詩織を抑えるのは双子の妹である「霜月雫」である。
「何で落ち着いてられるのよ!?こんな状況だよ?!」
「こういう状況だから、だよ」
雫が祭壇を降りて状況を確認しようと先頭で祈っている者に声を掛ける。
「あなたは、いや貴方様はッ!?もしかしてっ!!?」
そんな雫の姿を詩織は見ていた。
羨望の眼差しでも、尊敬の眼差しでもなく、曇りに曇った嫉妬の目で。
◇ ◇ ◇
「え?ここはどこなの?」
教室に居たはずなのに気づいたら砂漠にいた。
これが冷静でいられるものか。
周りを見渡しても状況を理解するどころか混乱する。
なぜなら自分が一人何処までも続くような砂漠のド真ん中にいたからだ。
よろけて倒れてしまうが、それが正解だった。
「グモ゙オオオォ゙ォ゙!!!」
先程までいたところから、サンドワームが叫声を上げて飛び出てきた。
「ひっ、な、何あれ?」
その正解が果たして幸運だったのか、悲劇だったのか。
それはまさしく神のみぞが知る。
「だ、誰かッ?!誰かぁ!誰か助けて!!?」
彼女は足をもつれさせて転倒しながらも、前に必死に進み活路を見出そうとする。
◇ ◇ ◇
「⋯⋯ここはどこだ?」
教室で龍凱や朱といつも通りにオタ話をしていた俺がなぜこんな所に?
この者の名は「織田玖音」と言った。
周りには矢が飛び交っていた。
足元を見れば死体が乱雑に放置されていた。
ふと、近くに刺さっていた剣を取る。
「た、頼む、こ、殺してくれェ!は、⋯⋯早くッ!」
そうすると足元にいた男性に足を、
否、服を掴まれて楽にしてくれと懇願される。
手に力が入らないのだろうか?手が震えている。
「え?え、は?え?」
当然の反応だ。
先程まで平穏が約束され、平穏を謳歌する社会に生まれ落ちて、これからも続くと思っていた。
そんな常識が目の前で音を立てて、崩れ散っていくからだ。
† † †
場面は龍凱達がいた教室に移る。
ガラッと音が鳴り教室のドアが開く。
「さーせん。遅刻しましたー」
悪びれもなく、堂々と教室に入ってこようとした者の名は「恵京起源那野」だ。
身長は平均より高く体格は平均的だ。
髪は上に癖毛が立ち、細目で性格の悪そうな顔をしている。
「は?⋯⋯何で誰もいないんだ」
恵京の声に反応するものは一人としておらず、無機質な時計の針の音が鳴っていた。
(▭-▭)φ:本編公開は2026/10/26日を予定しています!
その後は【土日・祝日の06時 / 11時 / 18時】に定期更新していきます。
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