結婚相談所
彼女は理想の結婚相手を探すため、最新の結婚相談所を訪れた。
受付も係員もいない。
白い部屋の中央に椅子が一脚あるだけだった。
座ると、柔らかな自動音声が流れた。
「ご希望の条件を選択してください」
「身長は、あなたより高い方がタイプですか」
「はい」
「容姿は五段階評価で、いくつ以上をご希望ですか」
「四か五で」
「年収のご希望を教えてください」
「1500万円以上でお願いします」
少し間があった。
やがて音声は淡々と告げた。
「あなた自身のポイントが不足しています」
彼女は眉をひそめた。
「失礼ね。」
「当相談所では、公平な交換制度を採用しております」
画面に数字が映し出された。
年齢、収入、容姿、性格、健康、将来性。
細かく点数化され、合計は希望条件に届いていない。
「そんなの、おかしいわ」
「では条件を下げますか」
彼女は黙った。
「参考までに、現在あなたと釣り合う候補者を表示します」
画面に数名の男性が現れた。
彼女は思わず顔をしかめた。
「この人たちじゃ嫌です」
「承知しました」
音声は静かに続けた。
「それでは、あなたの理想とする相手を表示します」
画面に一人の男性が映った。
高身長。整った顔。高収入。穏やかな笑顔。
彼女は身を乗り出した。
「この人!」
「申し訳ありません」
音声は変わらぬ調子で答えた。
「あなた自身のアップグレードが必要です」




