第3話 ギルドでの評価と、俺の“規格外”
街の中心にある冒険者ギルドは、朝から活気に満ちていた。
扉を開けた瞬間、ざわめきが広がる。
「……アイリスだ!」
「最強剣士がギルドに来るなんて珍しいぞ」
「隣の男は誰だ?」
視線が一斉に俺へ向く。
(うわ……注目されてる)
隣のアイリスは、いつも通り無表情だが、
その瞳はどこか誇らしげだった。
受付嬢が慌てて駆け寄ってくる。
「ア、アイリス様!? 本日はどのようなご用件で……」
「彼の登録をお願い。レオン。補助士よ」
「ほ、補助士……?」
受付嬢の視線が一瞬だけ曇る。
“無能職”という偏見があるのだろう。
だがアイリスはきっぱりと言い切った。
「彼は、私が認めた人。
実力は保証するわ」
その一言で、周囲の空気が変わった。
(……アイリス、ありがとう)
受付嬢は慌てて書類を取り出す。
「で、ではステータスカードを……」
俺はカードに手を置き、魔力を流す。
――ピカァッ!!
ギルド全体が光に包まれた。
「な、なんだ!?」
「ステータスカードが光ってるぞ!?」
「上位ランクの冒険者でも滅多に起きない現象だ!」
受付嬢が震える声で読み上げる。
「レ、レオン様……
レベル35……!?
補助士で……この数値……?」
周囲がざわつく。
「補助士でレベル35ってありえるのか?」
「いや、普通は10前後だろ……」
「筋力210? 魔力260? バグかよ……」
アイリスが静かに言う。
「バグじゃないわ。
これが彼の“真価”よ」
受付嬢は完全に固まっていたが、
やがて震える手でカードを差し出した。
「レ、レオン様……
ギルドランクは……特例でCランクからのスタートとなります……!」
「Cランク!?」
「新人でCは聞いたことねぇぞ!」
ギルド中が騒然となる。
(……俺、本当に変わったんだな)
そのとき、ギルドの扉が勢いよく開いた。
「た、助けてくれ!!」
血まみれの男が飛び込んでくる。
見覚えのある顔――ガイルのパーティの一人だ。
「森で……ブラッドウルフの群れに……!
ガイルが……ガイルがやられそうなんだ!!」
ギルド中がざわつく。
「ガイルって、あのAランクの?」
「やばいだろ、それ……」
男は俺を見つけ、顔を歪めた。
「レオン……!
頼む……助けてくれ……!」
アイリスが俺を見る。
「どうするの、レオン?」
俺は静かに息を吸った。
(追放された俺に……助けを求めるのか)
胸の奥に、冷たいものが流れる。
「……行こう。
ただし――」
男が縋るように俺を見る。
「ただし……?」
「俺はもう、お前たちの仲間じゃない。
“助けるかどうか”は、俺が決める」
ギルド中が静まり返る。
アイリスが微笑む。
「レオン。
あなたはもう、誰にも縛られないわ」
俺はゆっくりと立ち上がった。
「行くぞ、アイリス。
俺の力を……見せてやる」
こうして俺たちは、
ガイルたちが待つ森へ向かった。
――追放した側の“没落”は、もう止まらない。




