第1話 無能と追放された俺、封印スキルが覚醒する
「レオン。お前、今日でパーティを抜けろ」
その一言で、俺の七年間は終わった。
ギルド裏の薄暗い路地。長年共に戦ってきた仲間たちが、まるでゴミを見るような目で俺を囲んでいた。
リーダーのガイルが鼻で笑う。
「職業《補助士》なんて、いてもいなくても同じだ。いや、むしろ邪魔だな」
「そうそう。バフ弱いし、戦闘できないし、荷物持ちくらいしか役に立ってないよね」
「正直、足手まといなんだよ。わかるだろ?」
胸が締めつけられる。
俺は、ただ仲間の役に立ちたかっただけなのに。
「……俺は、みんなのために――」
「その“努力してますアピール”が鬱陶しいんだよ」
ガイルが吐き捨てるように言い放つ。
「お前のスキルは無価値だ。二度と俺たちの前に現れるな」
その瞬間、心のどこかで何かが“ぷつり”と切れた。
俺は荷物を拾い、ふらつく足で街の外へ歩き出す。
(……俺は、本当に無価値なのか?)
森の入口に差し掛かったときだった。
――カチリ。
胸の奥で、何かの封印が外れるような音がした。
次の瞬間、視界に光のウィンドウが浮かび上がる。
【固有スキル《真価解放》が発動しました】
【封印解除:全ステータスが跳ね上がります】
【職業《補助士》が真の姿を取り戻します】
「……は?」
表示されたステータスを見て、思わず息を呑んだ。
【レオン】
職業:補助士(真)
レベル:1 → 35
筋力:12 → 210
魔力:15 → 260
敏捷:10 → 190
スキル:
・《真価解放》
・《全職能強化》
・《能力底上げ(大)》
・《戦闘補助(極)》
・《魔力循環》
「いや、これ……どう見ても無能じゃないだろ」
むしろ――
バグだ。
そのとき、森の奥から低い唸り声が響いた。
グルルルル……!
中級魔物が姿を現す。
本来なら、俺一人では絶対に勝てない相手だ。
だが今は違う。
(……やれる)
身体が軽い。
魔力が溢れる。
視界が鮮明だ。
ブラッドウルフが飛びかかってくる。
「はっ!」
反射的に拳を突き出した。
――ドガァッ!!
一撃。
それだけで、魔物は木に叩きつけられ、動かなくなった。
「……嘘だろ。俺、こんなに……?」
そのとき。
木陰から、銀髪の少女が姿を現した。
無表情だが、驚きを隠せない瞳。
「あなた……補助士、なの?」
「え、あ、うん……一応」
少女はじっと俺を見つめ、静かに言った。
「さっきの一撃。あれは、王国でも数人しかできない技。
……あなた、本当は誰より強い」
心臓が跳ねた。
初めてだ。
誰かに“強い”と言われたのは。
少女は一歩近づき、手を差し出す。
「私はアイリス。最強剣士と呼ばれている者。
あなたの力……もっと見せてほしい」
その手は、温かかった。
追放されたばかりの俺に、初めて差し伸べられた“救いの手”。
そしてこの瞬間から――
俺の人生は、完全に変わり始めた。




